中国の研究者、哺乳類の時間把握メカニズムを発見

中国の研究者、哺乳類の時間把握メカニズムを発見

チョウの形をしたSCNのモジュール化された機能組織(左)とイメージ図。(資料写真、北京=新華社配信)

 【新華社北京4月23日】哺乳類は1日の時間の変化をどのように感知しているのか。脳がどのように時間を計算しているか。世界の科学界が抱えるこれらの難題に対し、中国・北京大学の研究チームはこのほど、哺乳類の大脳深部の視床下部領域にある視交叉上核(SCN)のニューロン群が、多くのニューロンによる「集団意思決定」を通じて時間を計算できることを発見した。計算精度は99%に達するという。研究成果はこのほど、国際学術誌「セルリサーチ」電子版で発表された。

 北京大学国家生物医学成像科学センター主任を務める程和平(てい・わへい)中国科学院院士(アカデミー会員)によると、研究チームは独自に開発したデュアルビュー2光子励起顕微鏡を通じ、SCN領域にある1万個近いニューロンの昼夜をまたぐカルシウムイメージングを初めて実現。SCN中では、カルシウムパルスを基本単位とした秒から時間、さらには概日周期に至るカルシウム信号の形成が可能で、潜在的な時間のコーディング能力を発揮できることを発見した。

 同大未来技術学院博士課程の王子晨(おう・ししん)さんは「SCNは哺乳類にとっての中枢的な生物時計で、外部からの光と時間の情報を受け取り、処理する。時間を計算し、信号としてアウトプットすることで生理機能や行動を制御できる」と説明した。

中国の研究者、哺乳類の時間把握メカニズムを発見

チョウの形をした左右対称で波紋状のSCN機能組織。(資料写真、北京=新華社配信)

 研究チームは、マルチスケール比較学習方法、カルシウムシグナルに基づく時間配列を通じ、SCNが空間に集合する際に左右対称と波紋状の特徴を呈することも確認。その様子は美しいチョウを彷彿させるという。

 同大分子医学南京転化研究院の喩菁(ゆ・せい)博士は今回の研究について、SCNのニューロン群による集団意思決定メカニズムに基づく時間計算能力とメカニズムを世界で初めてシステムレベルで明らかにしており、大規模カルシウムイメージング技術やディープラーニングの応用方法も汎用的な意義を持つと指摘。その他の複雑なニューロン群の動作原理を研究する上でも新たな思考の道筋をもたらしたと語った。(記者/魏夢佳)

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