福島県浪江町に完成した東日本最大規模のサバの陸上養殖施設が23日、お披露目されました。寄生虫の心配がない生産技術の確立を目指すことで、水産業の活性化や町の新たな特産品に期待が寄せられています。
お披露目されたのは、浪江町のかもめミライ水産が今年1月に建設したサバの陸上養殖施設です。施設には、大小あわせて18の水槽を備えていて、3年後には、年間60トンのサバの出荷を見込んでいます。
養殖に用いるのは、浪江町の水道水。この水を施設内で循環させることで、寄生虫・アニサキスによる食中毒を防ぐことができるということです。
サバの陸上養殖施設としては、東日本最大規模となるこの施設。運営する会社では、刺身で食べられるほど新鮮な新ブランド「福の鯖」として、海外展開も視野に入れています。
かもめミライ水産・大澤公伸社長「陸上養殖で飼育することでアニサキスフリーのサバを飼育することが可能。みなさんに生食で食べてもらうことを目指して取り組んでいく」
アニサキスを防ぐ生産技術
今回お披露目された浪江町の陸上養殖施設で、近い将来サバの刺身が手ごろに食べられる日が来るかもしれません。
サバというと、味噌煮や塩焼きなどで食べるイメージがあると思いますが、海で育ったサバには人体に下痢などの食中毒を引き起こす寄生虫のアニサキスが潜んでいることがあります。このアニサキスによる食中毒を防ぐため、加熱が必要になります。
県によりますと、今年に入ってから県内でアニサキスによる食中毒は、23日現在9人に上ります。
この養殖施設では町の水道水を施設内で循環させることで、アニサキスの寄生を防ぐことができます。サバの陸上養殖施設はすでに西日本を中心に広がりを見せていて、生で食べられるサバが流通しています。
この養殖施設では、来年の春にも刺身でも食べられる「福の鯖」というブランドとしてサバを出荷するということで、浪江町でも今後、このサバをふるさと納税の返礼品にすることを検討しているということです。