代役スピネッリ、SBK初陣でギャンブル大成功「これがレース!信じられないような勝利で嬉しい」/第3戦オランダ

 4月19〜21日、2024年スーパーバイク世界選手権(WorldSBK)第3戦オランダラウンドがオランダのTT・サーキット・アッセンで開催された。ダッチウェザーに翻弄された土曜日のレース1では、代役として初参戦したニコラス・スピネッリ(Barni Spark Racing Team)が初優勝を飾った。

 スピネッリは、FIM Enel MotoE World Championship(MotoE)を戦っているライダーだ。また2023年はMotoEに加え、スーパースポーツ世界選手権(WorldSSP)に阿部真生騎のチームメイトとしてしのぎを削っていた。そんな彼は、モトクロスでのトレーニング中に右鎖骨と顎を骨折したダニロ・ペトルッチの代役として起用された。

 土曜日のスーパーポール(予選)で11番手を獲得したスピネッリは、4列目からレースに挑むこととなった。デビュー戦となるレース1は、グリッド整列の際に雨が降り出すも、直前には回復するなど天候が目まぐるしく変化し、タイヤ選択が難しいコンディションだった。ほとんどのライダーがスリックタイヤを選択していたが、スピネッリだけが前後にインターミディエイトタイヤを履いており、そのことが功を奏する展開となる。

レース1のスタートシーン/2024SBK第3戦オランダ

 スピネッリはスタートで3番手に浮上すると、その後すぐにトップに踊り立つ。一方、スリックタイヤを選択していたライダー達は、路面がまだ水飛沫を上げるほどの路面コンディションだったため、攻めた走りができずにいた。それにより、一時は2番手以降に25秒以上のギャップを広げることに成功させていた。

 ところが、路面が徐々に乾き出してスリックタイヤに有利なコンディションへと変化し、タイヤ交換を行わずにコース上に残っていたライダー達がペースを上げ始める。終盤には5秒を切るほどにまでギャップが縮まっていたが、残り7周で15コーナー付近の路面にオイルが飛散したようで赤旗が掲示。レース距離の3分の2を終えていたことにより成立となり、そのままレースが終了し、スピネッリは初陣を初優勝で飾った。

 日曜日のスーパーポール・レースでは18位、レース2では16位で終える結果となった。しかし、レース1の難しいコンディションのなかで、タイヤ選択の賭けに勝ったスピネッリにとっては嬉しいデビュー戦となった。

ニコラス・スピネッリ(BARNI Spark Racing Team)/2024SBK第3戦オランダ

■ニコラス・スピネッリ(BARNI Spark Racing Team)
「初めてのレースで、トプラク(・ラズガットリオグル)と(アルバロ・)バウティスタの前にいるなんて信じられないことだ! 本当に信じられないよ。初めてスーパーバイクのマシンに乗ったのは金曜日のフリー走行だったけれど、このマシンはとても強い。僕はこの週末に向けて一歩一歩、セッションに向けて取り組んできたんだ」

「僕はこのバイクの経験がなかったから、どのタイヤを使えばいいのかわからないとチームに伝えたら、チームはインターミディエイトを使うことにしたんだ。25秒のギャップがあったけれど、最終ラップにはその差が縮まっていたんだ。4秒差だったのを見たときは『ダメだ! もう終わりだ』と思ったよ。赤旗を見たときはとてもラッキーだったけれど、でもこれがレースなんだ! とても信じられないような勝利だったから嬉しいよ」

ニコラス・スピネッリ(BARNI Spark Racing Team)/2024SBK第3戦オランダ
ニコラス・スピネッリ(BARNI Spark Racing Team)/2024SBK第3戦オランダ
初優勝を飾ったニコラス・スピネッリ(BARNI Spark Racing Team)/2024SBK第3戦オランダ
ニコラス・スピネッリ(BARNI Spark Racing Team)/2024SBK第3戦オランダ

投稿 代役スピネッリ、SBK初陣でギャンブル大成功「これがレース!信じられないような勝利で嬉しい」/第3戦オランダautosport web に最初に表示されました。

© 株式会社三栄