『呪術廻戦』虎杖悠仁のルーツが明らかに! 作中最強の“チートキャラ”として宿儺と並び立つ可能性

※本稿は『呪術廻戦』最新話までの内容を含みます。ネタバレにご注意ください。

4月22日発売の『週刊少年ジャンプ』21号(集英社)に掲載された『呪術廻戦』の最新話にて、激動の展開が描かれたことが話題を呼んでいる。これまで伏線が積み重ねられてきた主人公・虎杖悠仁の出生や潜在能力にまつわる謎が、一挙に解き明かされることとなったのだ。

現在作中では、両面宿儺と呪術高専サイドの術師たちが死闘を繰り広げている最中。そこで虎杖は渾身の黒閃を放つことに成功したが、最新話にあたる第257話「人外魔境新宿決戦(29)」で、さらに黒閃を畳みかけていった。

結果的に術師としてより深い覚醒状態に入った虎杖は、新たな術式を発動することに成功。それは宿儺と同じ術式である「御廚子」だった。どうやら宿儺に受肉されていたことで、その術式が身体に刻み込まれていたらしい。

この展開は唐突なものではなく、物語の序盤で五条悟は「君の体には宿儺の術式が刻まれる」と虎杖に告げていた。作中ではほとんど忘れ去られていた“予言”だが、ここにきてようやく成就した形となる。

さらにもう1つ衝撃的だったのは、宿儺が回想シーンで自身と虎杖のルーツについて語っていたことだ。元々宿儺は双子で生まれる運命だったのだが、飢餓状態に陥ることを避けて出生前に片割れを喰っていたという。そしてその片割れの魂が生まれ変わった先が、虎杖の父親・仁であり、羂索が身体を乗っ取った妻・香織とのあいだに虎杖が生まれた……というわけだ。

宿儺が双子の片割れを犠牲にして生まれてきたのではないかという説は、以前から考察されていた。しかし虎杖の父がその双子の生まれ変わりだと予想していた読者は、少なかったのではないだろうか。

ほかにも今回のエピソードでは、呪胎九相図の残りを取り込んだことによって虎杖に「赤血操術」の術式が刻まれていること、羂索による死滅回游の計画のため、生まれながらに「宿儺の指」を1本封印されていたことなども判明した。これまで散りばめられてきた伏線が怒涛のように回収されており、たった1話にして虎杖は“宿儺に並び立つかもしれない存在”へと変貌を遂げている。

なぜ宿儺は虎杖を「つまらん」と言うのか

今回明かされた設定を踏まえて考えると、虎杖はそもそも作中でトップクラスの潜在能力を秘めたキャラクターだったのだろう。そこで違和感を覚えてしまうのが、度重なる宿儺からの“冷遇”だ。

宿儺は敵・味方問わず、実力がある者には強い興味を示す性格をしている。だが虎杖に対しては一貫して眼中にない素振りで、交戦するたびに「つまらん」と吐き捨ててきた。だが虎杖は実際には高いポテンシャルを秘めている上、宿儺と強い縁のある存在なので、この反応は一見すると不可解にも見えるだろう。

辻褄が合うように想像するなら、宿儺は虎杖の潜在能力を察していたからこそ、その真価を発揮できず、並みの術師レベルに留まっていることを退屈だと感じていたのかもしれない。あるいは、双子の片割れをルーツに持っているため、本能的に虎杖と戦うことに気が乗らず、そのことに宿儺自身が気づいていない……という可能性もあるだろうか。

ところで虎杖に関しては、まだいくつかの謎が残されている。その内もっとも重要だと思われるのは、「播磨」に関する設定だ。宿儺と裏梅は虎杖の顔を見て、播磨にいた人物を思い出すような口ぶりをしており、読者のあいだでは蘆屋貞綱との関係性についての考察が盛り上がっていた。

だが今回明かされた情報を見るかぎり、父方の血筋はこの設定とは関わりがなさそうだ。そうなると播磨や蘆屋貞綱との接点があるのは、母である香織の血筋の方なのかもしれない。

香織は「反重力機構」(アンチグラビティシステム)という謎の術式を持っている人物だったが、この設定にも何らかの背景が存在するのだろうか。目まぐるしい展開が続く新宿決戦の行方が、ますます気になるところだ。

(c)芥見下々/集英社

(文=キットゥン希美)

© 株式会社blueprint