県立博物館は23日、同博物館の猪瀬弘瑛(ひろあき)学芸員(40)らの共同研究グループが、いわき市大久町にある地層から日本で初確認の1種類を含むイノセラムス科二枚貝の化石6種類を発見したと発表した。このうち2種類も県内では初めて発見された。調査の結果、同市の恐竜時代の地層が従来の研究より約100万年古くから堆積し始めた可能性があることが分かったという。
イノセラムス科二枚貝は、恐竜時代である中生代白亜紀を指し示す化石(示準化石)として知られている。これまでの研究では、白亜紀のうち前期~中期コニアシアン(約8980万~8800万年前)を示す化石とされていた。今回発見された化石を国内外の研究を基に調査した結果、さらに古い後期チューロニアン(約9140万~8980万年前)を示すことが分かったという。これまで欧米でしか発見されていなかった種類の化石が発見されたことで、日本と欧米の恐竜時代の比較研究が進むことなども期待される。
共同研究グループは猪瀬学芸員のほか、産業技術総合研究所地質調査総合センターの利光誠一さん、いわき市の鈴木千里さん。鈴木さんが約40年にわたってさまざまな化石を探す中、双葉層群足沢層で今回の化石を見つけた。
猪瀬学芸員は「日本と欧米の化石を比べる手かがりになり、恐竜時代の地層を日本全体で見直す必要も出てきた。さらに解明を進めていきたい」と話した。
今回の調査は17日発行の地質学雑誌に掲載された。化石は県立博物館で27日から展示される。