「荒城の月」最後の合唱、会津若松の音楽祭 5月12日、歴史に幕

鶴ケ城本丸にある荒城の月碑

 名曲「荒城の月」を会津若松市民の愛唱歌にしようと、同曲を歌い継いできた「荒城の月市民音楽祭」が5月12日に最終公演を迎える。スタッフの高齢化が主な理由で、2000年の初回から計21回の公演で歴史に幕を閉じる。

  「荒城の月」は、土井晩翠が修学旅行で訪れた鶴ケ城跡や故郷である仙台市の青葉城跡をモチーフに作詞した。滝廉太郎は大分県竹田市の岡城跡に着想を得て作曲したとされる。1947年には、鶴ケ城本丸に土井自筆の詩が刻まれた「荒城の月碑」が建立され、序幕式に土井夫妻が出席した。

 99年には会津若松市で、同市の市制施行100周年を記念して「荒城の月サミット」が開かれた。土井の出身地である仙台市、滝とゆかりある竹田市、会津若松市の3市長が集まり、合唱を中心とした交流会が企画された。

 「鶴ケ城が『荒城の月』の作詞の基になったことを地域の誇りにしたい」。市民らの機運が高まり、交流会が開かれた翌年の2000年に、市民の有志らでつくる鶴ケ城ボランティアガイドを中心に実行委員会を組織し、第1回荒城の月市民音楽祭を開いた。音楽祭には毎回、小学生から社会人まで市内の幅広い世代が参加して歌声を披露した。

 5年ぶりの開催となる最終公演は、5月12日午後2時から、同市の會津風雅堂で開かれる。鶴城小や会津高、市民団体から約300人が出演。同市出身のテノール歌手佐藤淳一さん、メゾソプラノ歌手佐藤朋子さん夫妻らがゲスト参加する。最後は出演者と来場者の全員で「荒城の月」を歌う。

 実行委員長の竹田政弘さん、事務局の渡部健志さんは「音楽祭に関わってきた人たちの思いを込めて開催する。ぜひ足を運んでいただきたい」と話している。

 入場無料。問い合わせは會津風雅堂(電話0242.27.0900)へ。

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