「アベは世界一好きな人のうちの一人」トランプ氏がFNN記者と対話 円安は「円にとって大きなアドバンテージ」

11月のアメリカ大統領選でトランプ氏が返り咲く「もしトラ」を見据えた「麻生・トランプ会談」がニューヨークのトランプタワーで23日(日本時間24日早朝)、およそ1時間に渡って行われたが、その直前、トランプ氏がその場に集まっていたFNNを含めた内外の記者と対話するという、極めてまれな機会があった。

日本の調子はどう?トランプ氏が記者に声かけ

自民党の麻生副総裁が到着する数分前の午後5時50分すぎ、トランプ氏はエレベーターから降りてきて、「みんな元気かい?」と待機していた国内外のメディア8人に声をかけてきた。麻生氏はまだ到着していなかったが、出迎えるために玄関で待機した形だ。

「裁判所ではいい一日だったよ」。

3時間前に裁判所からトランプタワーに戻ったばかりのトランプ氏は、連日続く自身の「口止め料」業務改ざん記録事件の公判を振り返った。かねてから法廷内が寒いと不満を述べていたトランプ氏は、ここでも裁判の話題から入ったが、日本のメディアの多さに気づき、「日本の調子はどう?」と聞いてきた。

そしていきなり、「日本の円にとって大きなアドバンテージだ。バイデン大統領は「(円相場対策について)何をやっているのか自分でわかっていない」と批判をつけ加えた。

こちらから「日本に観光客が沢山きていますよ」と返すと、「みなさんのところに多くの観光客がきているよね、本当に。きょう見たよ。信じられないくらい」と述べた。

「日本は恋しいですか?」とたずねたところ、「日本は大好きだよ。アベ(安倍晋三元首相)は私が世界の中で一番好きだった人のうちの一人だよ」と強調した。

「シンゾー」を連発

麻生氏の車が二重の自動ドアの向こうで到着するのが見えると、トランプ氏はメディアに背を向けた。ガラスドアの向こうで車を降り、帽子を取った麻生氏に対し、両手を左右に広げて迎えた。握手をした麻生氏もにこやかな表情で建物の中へ入ってきた。

「調子よさそうだね」とトランプ氏が麻生氏の右腕をぽんとたたくと麻生氏は「イエス」と答え、うなずいた。その後の一問一答は次の通り。

ーー麻生氏が今回この時期に日本から面会にくる意義についてはどう思いますか?
彼は日本だけでなく海外でも非常に尊敬されている人物だ。 彼は私の親愛なる友人、安倍晋三(元首相)を通じて知り合った人だ。そう、シンゾー、私たちはシンゾーを愛していました。 彼は偉大な人だった。 私たちはお互いを知るようになり、親しくなった。 この後日本とアメリカについてや、他の多くのことについても話すが、非常に尊敬されている彼に来ていただけることを大変光栄に思う。

ーー日本国民へのメッセージは?
素晴らしい国だね。とてもうまくいっている。シンゾーは私の素晴らしい友人でした。彼は本当に偉大な人であり、私たち皆が尊敬し、本当に愛した人だった。彼がとても恋しい…彼がいなくてとても寂しいが、私たちは日本の人たちを本当に尊敬している。

ーー明日の予定は?
明日はどうなるのか、むしろ教えてくれ。コロンビア大学(※イスラエルへの抗議デモで混乱中)は今どうなっているんだ。クレイジーだ。コロンビア大学は力と勇気を身につけて、学校を封鎖すべきでない。大学を閉鎖し始めると、相手側が勝つことを意味するからだ。日本ならこんなことは起きない。封鎖せず、機能させる。コロンビア大学を運営している人たちは重大な間違いを犯している。

麻生氏との会談は約1時間で終了し、トランプタワーを出た麻生氏は5番街に集まった人たちに手を振り、車に乗り込んだ。

刑事裁判への出廷と選挙活動を続けるトランプ氏が多忙なスケジュールの合間に時間を麻生氏との会談に1時間を割いた形だ。

麻生氏の満面の笑みは「もしトラ」を見据えた会談が成功裏に終わったことを意味するのか。

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