屋久島沖のオスプレイ墜落、環境への影響は?…400万円かけた調査で「水質汚染なし」 待たされた漁業者安堵

〈関連〉2023年11月30日、墜落したオスプレイの機体の一部とみられる漂流物を引き揚げる漁師=屋久島町の安房港

 鹿児島県屋久島沖で昨年11月に発生した米軍輸送機オスプレイ事故で、防衛省九州防衛局は23日、屋久島漁協の要望を受け現場周辺海域で進めていた水質調査結果を公表した。「環境汚染や健康への悪影響はない」と結論付けた。

 同局によると、約400万円かけ、屋久島空港近くの沿岸部など計5地点で調査。採取した海水からカドミウムなど26項目を、底質調査は堆積土砂から12項目を調べ、いずれも異常はなかった。周辺海域で採れたキダイなど5種類と他地域の食用魚介を比較した調査でも差はなかった。

 報告は3月中にまとめるとしていたが、「3月末まで調査した後、分析や確認をした」と説明。南日本新聞の取材に対し、漁業補償について「関係者に損害状況を聞きながら作業を進めており、早期支払いを目指す。今後も地元の要望に適切に対応し不安や懸念の払拭(ふっしょく)に努める」とした。

 同局の職員が同日、漁協、屋久島町、県庁を訪れ結果を報告。漁協の羽生隆行組合長(73)は「調査結果が長く知らされず不安だったが、水質に問題がないと聞き安堵(あんど)した」。荒木耕治町長は「一区切りではあるが、今後も地元の声にしっかり耳を傾けてほしい」と話した。

 航空機には放射性物質が使用されオスプレイのエンジン点火装置にも使われている。防衛省は「希ガスなので水や食品に蓄積されない」と説明。機体の残骸も「発生当初に米側から汚染や人体への影響がないとの回答を得た」としている。

 事故は昨年11月29日に発生。米軍は搭乗員全8人の死亡を認定し7人の遺体を収容。機体の大部分と飛行状況などを記録した「ブラックボックス」を回収し今年1月、不明者1人の捜索と機体回収を打ち切った。

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