猫400匹が宙を舞う!ヤノベケンジの巨大アートが銀座で大爆発!佐久間みなみが“猫まみれ”の現場をリポート

アートの発信拠点としても知られる東京・銀座の商業施設「GINZA SIX(ギンザシックス)」の中央吹き抜け空間に、4月5日から現代美術作家・ヤノベケンジさんの作品がお目見えしています。Tokyo Art Vibes∞のナビゲーターである佐久間みなみアナウンサーが、ご本人に作品にかける思いを聞きました。

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ヤノベケンジさんは、ユニークな巨大彫刻で知られる現代美術作家で、GINZA SIXの中央吹き抜け空間を貫く巨大アートのタイトルは「BIG CAT BANG(ビッグ キャット バン)」。「猫大爆発!」です。

ヤノベさんのすすめで「全体がよく見える」4階から作品を眺めた佐久間アナは、「確かにすごく大きいです!」とそのスケールに驚き。ヤノベさんも「今まで作った中で最大級で、今の時点では最高傑作です!」と胸を張ります。

佐久間アナは、まず、GINZA SIXの中央吹き抜け空間という場所をどう意識したのか、ヤノベさんに聞きました。

ヤノベさん:ここは美術館とは違い、360度あらゆるところから見られる豊かな場所ですから、ショッピングに来たみなさんが、作品の意味をわからずとも、何かインスピレーションを得てもらえるようなインスタレーションにしました。

佐久間アナ:どういうテーマになさったのですか?

ヤノベさん:真ん中には「太陽の塔」のような宇宙船が浮いていて、その中心から宇宙の端までビッグバンのように猫が拡散しているイメージです。岡本太郎さんの「太陽の塔」は万博の屋根を突き破ってましたが、私の作品はGINZA SIXという商業施設で芸術が爆発するイメージです。

ヤノベさんは、パーツごとも説明もしてくれました。まずはなぜ宇宙船が「太陽の塔」がモチーフになったのでしょうか?

ヤノベさん:僕は大阪生まれ、育ちで、岡本太郎さんの「太陽の塔」は身近にある巨大な彫刻作品でした。子どもながら、これは怪獣なのか、宇宙船なのか?と想像力をかき立てられました。そして、生命の起源は宇宙から来たのではないかという説をもとに、万博公園に立っている「太陽の塔」はもともと宇宙船だったのではないか、と考えるに至ったのです。

GINZA SIXの4階にはヤノベさんにアーティストとしてのインスピレーションを与えた芸術家・岡本太郎さんが制作した「太陽の塔」の50分の1の原型模型も飾られています。1970年の大阪万博のシンボルは54年経っても色あせないアート作品です。

吹き抜けアートの細部を見てみると、塔の頂部の未来を象徴する「黄金の顔」は「黄金の猫」に、現在を象徴する正面の「太陽の顔」は「白猫の顔」に、過去を象徴する背面の「黒い太陽」もしっかり「黒い猫」と、見事な「太陽の塔」へのオマージュになっています。

佐久間アナ:宇宙船のクルーはどうして猫なのでしょう?

ヤノベさん:猫は2017年から始めたシップスキャット(SHIP’S CAT)というシリーズの展開です。

ヤノベさん:猫はネズミを捕る習性があるでしょう?それで、船の食料を盗むネズミから食料を守るために猫を船に乗せだして、世界中に猫が広まっていったのです。そして、船の守り神、土地の守り神、人間とともに共生していく友達のような存在を象徴する作品として生まれたのです。

ヤノベさんは、さらにこの作品に込めた妄想ストーリーを語りました。

ヤノベさん:生命はどこから来て、どこへ行くのか考えて、生命体は宇宙の外から来た、という説をもとに妄想しました。宇宙猫が搭乗する宇宙船が、生命体のいない地球に下りてきて命を受けた。なので、宇宙船から小さい猫400体が地球に向けて飛び出してきています。

生命の危機は隕石の衝突とかいろいろありますが、実はパンデミックとか戦争とか人間によってもたらされるものなのではないか、と思うのです。自分は岡本さんのインスピレーションを受けてアーティストをやっていて、この作品も太郎さんと一緒にこの時代に何かを訴えようと表現したものなのです。ふざけたアートに見えて、実は奥が深いのです。

ヤノベさん:ホントは飛び出す猫がお店に突き刺さるように作りたかったのですけどね~。

佐久間アナ:そうなんですか?

ヤノベさん:この作品にはいろいろなことを隠しているのですよ。噴射口にもネタがあります。

佐久間アナ:どんなネタなのですか?

ヤノベさん:みなさんの想像力を培うためにも、今は明かさないでおきます。今後、お題として出していこうかな?

インタビューは終始和気あいあいで、佐久間アナは「最初はユニークでかわいい作品だな、という印象でしたが、ヤノベさんのお話をうかがって、さまざまなメッセージが込められた奥の深い作品だということがわかりました。ご覧になる方が、それぞれの解釈で楽しまれるといいですね」と感想を話しました。

ヤノベケンジさんの「BIG CAT BANG(ビッグ キャット バン)」は東京・銀座のGINZA SIXで、来年の夏まで展示されていますので、銀座に行かれる方はぜひチェックしてみてください。

text by=Eiko Katsukawa

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