終戦直後に医師がハンセン病元患者の解剖に関する資料偽造か…長島愛生園の調査で明らかに【岡山】

ハンセン病元患者の解剖に関する資料が当時の医師によって偽造されていた可能性が強まっています。瀬戸内市の長島愛生園に残された入所者が解剖を承諾したことを示す「剖検願」の中に、本人の死後に作成されたものがあることが、園の調査で分かりました。

(長島愛生園 山本典良園長)
「昭和21年(1946年)から23年(1948年)にかけて、剖検願いの過半数が死後の日付だったことにちょっと驚いている」

瀬戸内市の国立ハンセン病療養所長島愛生園は1948年以前に作成された175人分の「剖検願」を抽出して調査を行いました。その結果、解剖に承諾した日付が入所者が死亡した後だったものが全体の22%にあたる39人分ありました。

戦後の1946年からの2年間にいたっては半数以上が承諾の日付が死後のもので、当時の医師が偽造した可能性が高いということです。

(長島愛生園 山本典良園長)
「亡くなる前危、篤直前の承諾は医者の倫理観からすると、とれないと思った。死後の承諾書を残すことによって今まで危篤前にとっていた承諾書全てが、とっていなかったんだということを主張したかったのかと推察する」

解剖に関する資料を巡っては入所者の遺族で、全国で初めて解剖録の開示を求めた獨協医科大学の木村真三准教授らのグループが、国の研究事業として園の解剖録の検証を進めることになりました。

今回の調査は、研究グループへ資料提供を行う前に園が行ったもので解剖の実態を知る貴重な資料を生かしていきたいとしています。

(長島愛生園 山本典良園長)
「診療録を含めて個人情報に触れない限りお見せして、判断してほしい」

研究グループによる検証結果は、2025年度までにまとめられる予定です。

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