金沢・竪町通り、古着店急増 2年間で11店、東京からも進出 ブーム再来、出店ハードル低く

4月にオープンした古着店=金沢市の竪町ストリート

 金沢市の竪町ストリートで古着店が急増している。1990年代以来の第2次古着ブームを背景に、約2年間で11店舗が開業した。従来の安価なイメージとは異なり、欧米からの輸入品や年代物などこだわりの一品を取り扱う店舗が目立つ。東京の企業が運営するケースもあり、各店は客層や商品のすみ分けを図りながら相乗効果を期待する。

 今月6日にオープンした「TYLE(タイル)」は、主に米国や欧州から輸入した1980年代、90年代の服を扱う。もともと飲食店が入居していた場所で、内外装を刷新して洗練された店内に仕上げた。

 オーナーの藤田悠人さん(34)=金沢市出身=は20歳から都内のアパレルで勤務。藤田さんによると、古着店は飲食店のような特別な設備が必要なく、仕入れも店側でコントロールできるため出店のハードルが低い。加えて、東京に比べてテナント料を安く抑えられる点も竪町に古着店が急増した要因と推測する。

 今回の古着ブームは下北沢を中心に2021年ごろに始まったとされる。高価格なヴィンテージ品だけでなく、リユースやリサイクルの潮流に乗って古着を買い求める人が増えたという。

 財務省の貿易統計によると、「中古の衣類とその他の物品」(海外古着)の輸入量は過去10年で右肩上がりで、21、22年は連続して過去最高を更新した。

 竪町ストリートには現在15の古着店がある。竪町商店街振興組合によると、コロナ禍以降に出店が相次ぎ、東京のほか新潟や富山の企業が出店するケースもある。

 組合の西田倫明理事長は「昔の古着のイメージとは違う。オーナーの個性光る店が多く、年代に関係なくファッションの感度が高い人の心に刺さる街になればいい」と話した。

© 株式会社北國新聞社