内閣支持率26.9% 3.7ポイント回復“裏金処分”5割超「納得せず」「政権交代に期待」52%【FNN世論調査】

FNNの4月の世論調査で、岸田内閣の支持率は26.9%だった。3月より3.7ポイント上がり、支持率は2カ月連続での上昇となった。国賓待遇でのアメリカ訪問を評価するとの答えが5割超にのぼり、2023年5月の広島サミット同様、外交が支持率を押し上げた形だ。

ただし、岸田政権は、依然として20%台の低支持率が続く。
(4月20、21日、全国の18歳以上の男女を対象、電話世論調査)

国賓待遇訪米 YOASOBI迎え、ホワイトハウス晩餐会で笑顔

内閣支持率が4ポイント近く回復した要因の一つは、国賓待遇でのアメリカ訪問だ。安倍元首相に続いて、日本の首相として米議会上下両院議員を前に議会演説を行い、日米がグローバル・パートナーとして日米関係の深化を打ち出した。訪米の評価については「大いに評価」6.9%、「ある程度評価」48.6%、「あまり評価しない」26.3%、「全く評価しない」11.1%、となり総じて「評価」との意見が55%に上った。

【岸田首相の訪米、日米首脳会談】
大いに評価する 6.9%
ある程度評価する 48.8%
あまり評価しない 26.3%
全く評価しない11.1%

“裏金問題“岸田首相に不処分に厳しい意見 「妥当ではない」7割

一方で、内政に目を向けると派閥資金問題では厳しい声が続いている。自民党の党紀委員会が、安倍派幹部ら39人に下した「離党勧告」「党員資格の停止」「党の役職停止」「戒告」とする処分については、「納得」40.7%、「納得できない」55.0%となった。岸田首相自身については、個人での不記載が無いとして、処分が見送られたことについては「妥当」25.0%、「妥当ではない」68.2%として、7割が問題視する立場を示した。

支持政党別に詳細に見てみると、安倍派幹部ら39人への処分については、自民支持層では「納得」59.4%「納得できない」35.3%と多数の「納得」姿勢が示された。

公明支持層でも「納得」64.7%、「納得できない」35.3%と納得する意見が6割を超えた。

一方で、主要野党支持層では、「納得できない」との意見が、各野党支持層とも7割前後と多数の意見となった。立憲支持層では、「納得」33.1%、「納得できない」66.9%、維新支持層、「納得」28.8%、「納得できない」71.2%、共産支持層、「納得」18.0%、「納得できない」78.9%、国民支持層、「納得」27.8%、「納得できない」72.3%となった。

一方で、岸田首相に対して処分無しとの対応になったことについては、野党支持層に加え、与党公明支持層からも厳しい声が示された。

処分が無かったことについて、自民支持層では「妥当」が51.8%、「妥当ではない」40.4%だったが、公明支持層では「妥当」28.5%、「妥当ではない」64.8%と批判的な声が高くなった。

さらに、主要野党支持層を見ると、立憲支持層「妥当」13.6%、「妥当ではない」82.4%、維新支持層、「妥当」7.4%、「妥当ではない」89.1%、共産支持層、「妥当」21.2%、「妥当ではない」77.9%、国民支持層、「妥当」15.6%、「妥当ではない」84.4%といずれも8割前後が、岸田首相が不処分となったことを「問題視」していることが明らかになった。

【自民党が安倍派幹部ら39人を処分】
納得できる 40.7%
納得できない 55.0%

【自民党が30人を処分 支持政党別】
納得できる 納得できない
自民支持 59.4% 35.3%
公明支持 64.7% 35.3%
立憲支持 33.1% 66.9%
維新支持 28.8% 71.2%
共産支持 18.0% 78.9%
国民支持 27.8% 72.3%

【“裏金問題”で岸田首相に処分無し】
妥当 25.0%
妥当ではない 68.2%

【岸田首相への処分無し 支持政党別】
妥当 妥当ではない
自民支持層 51.8% 40.4%
公明支持層 28.5% 64.8%
立憲支持層 13.6% 82.4%
維新支持層 7.4% 89.1%
共産支持層 21.2% 77.9%
国民支持層 15.6% 84.4%

来たる解散総選挙に向け 無党派層からは自民党処分に厳しい声

政治とカネをめぐる問題は、来たる衆議院総選挙でも最大の争点の1つとなる。有権者の中で最も多い、49.9%を占める無党派層について、自民・党紀委員会の今回の処分についての意見を分析してみると、安倍派幹部ら39人への処分については「納得」が35.0%、「納得できない」が60.7%と処分に多数が納得していないことが明らかになった。さらに岸田首相への処分が無かったことについては、「妥当」15.8%、「妥当ではない」76.6%と、さらに厳しい見方が示された。

自民党は、今回の党紀委員会の処分をもって、裏金問題での対応に区切りをつける姿勢で、追加で岸田首相の処分を検討する状況にはなっていない。自民党としては、真相究明、処分、再発防止の3段階のステップのうち、2段階目までを進めた形だが、真相究明についても国会の政倫審での説明などについて、世論調査では納得が得られていないところで、第2ステップの処分についても、特に野党支持層や、無党派層の理解が得られていない形で、来たる衆議院選挙に向け、政治とカネの問題で、課題を積み残したままといえる状況だ。

【自民党が39人を処分 支持政党無し】
納得 納得できない
支持政党無し 35.0% 60.7%

【岸田首相への処分無し 支持政党無し】
妥当 妥当ではない
支持政党無し 15.8% 76.6%

岸田政権の命運は? 岸田首相は“秋の総裁任期まで“が9割

今回の調査で、支持率を4ポイント近く取り戻した岸田政権だが、世論調査で岸田首相がいつまで続けて欲しいかを聞いたところ、「すぐに交代」20.7%、「国会終わりの6月頃まで」25.0%、「9月の自民総裁任期まで」43.2%、となり、長くても今の総裁任期の9月までとする答えが88.9%と「秋まで」との意見が、9割にのぼる結果となった。総裁に再選をのぞむ「9月以降も続投」との意見は8.2%にとどまった。

岸田政権が来年に向けて継続となるには、9月予定の自民党総裁選を勝ち抜き再選を果たすことが必須条件となるが、自民支持層で岸田首相にいつまで総理大臣を続けて欲しいかを聞いたところ、「すぐに交代」が7.4%、「国会終わりの6月頃まで」は11.9%、圧倒的に多かったのが「9月の自民総裁任期まで」で60.4%、「9月以降も続投」は19.4%となり、岸田総裁は、総裁続投に向けて、党総裁選で投票権を持つ自民支持層への支持拡大が急務となっている。

【いつまで首相を続けて欲しいか】
すぐに交代 20.7%
国会閉会の6月頃 25.0%
9月の総裁任期まで 43.2%
9月以降も続投 8.2%

【いつまで首相を続けて欲しいか 自民支持層】
すぐに交代 7.4%
国会閉会の6月頃 11.5%
9月の総裁任期まで 60.4%
9月以降も続投 19.4%

総裁選で勝ち抜くこと以外に、もうひとつ岸田首相が続投するシナリオがある、それが解散総選挙に打って出て、選挙で勝利するというものだ。岸田首相は、6月まで予定の今の国会で政治資金規正法を厳しくする法改正を実現し、政治とカネ問題を乗り越えて支持を取り戻す想定をしている。

さらに、有権者の最大の関心でもある、物価高・所得増加という課題についても6月に定額減税として国民1人あたり最大4万円の所得税減税を実施する。すでに行った、低所得者への合計で10万円の給付とともに「年内に物価上昇を上回る所得を実現する」と3月28日の会見で強調している。政治とカネの再発防止と、物価高対策の実現を勢いに、解散総選挙で勝ち抜き続投するというシナリオが考えられる。

世論調査で、有権者に衆院解散の望ましい時期を質問したところ、「6月までの通常国会中」が、33.5%と最も多く、「秋頃解散」が20.3%、「年内解散」が15.3%、「来年以降」が4.5%、「来年10月の衆院任期満了まで解散の必要なし」が21.7%となった。

岸田首相に首相をいつまで続けて欲しいか、という質問では、全有権者、自民党支持層とも最も多かったのが「9月の総裁任期まで」ということと、掛け合わせてみると、有権者は岸田総裁の続投の是非について、秋の自民総裁選ではなく、その前に、総選挙で審判を下す段取りを望んでいるとも言える。

ただし、その結果、与党勝利で岸田政権続投となるか、政権与党敗北で、岸田政権交代となるか、支持率が低迷していることなどを見ると、現状で、岸田首相と有権者は6月解散だとしても“同床異夢”の状況ともいえる。

【衆院の解散・総選挙の時期】
6月までの国会中 33.5%
秋頃 20.3%
年内 15.3%
来年以降 4.5%
来年10月の衆院任期満了 21.7%

衆院選のその先は・・・「政権交代」への期待が5割超

“同床異夢”と言える裏付けとなるのが、衆院選挙後の政権のあり方についての質問となる。

次期衆院選後の政権のあり方について「自民党中心の政権の継続」への期待は40.1%でこれを上回るかたちで「政権交代」への期待が52.8%に上った。

支持政党別に見ると自民支持層では「自民党中心の政権の継続」が86.5%、「政権交代を期待」10.7%、与党公明支持層では「自民中心政権」が73.8%、「政権交代」が26.2%と答えた。自公政権の継続が圧倒多数とは言え、自民層の1割、公明層の2.5割が政権交代を望んでいるというのは、与党支持層でも岸田政権が“盤石支持”では無いとも言える。

一方の主要野党支持層を見ると、立憲層では「自民党中心政権」が7.5%、「政権交代」が87.2%、維新支持層では「自民党中心政権」が28.0%、「政権交代」が64.1%、共産支持層では「自民党中心政権」が15.0%、「政権交代」は85.0%、国民支持層では「自民党中心政権」20.3%、「政権交代」が79.7%と答えた。

ここでも最大割合、有権者の49.9%を占める「無党派層」に注目すると「自民党中心の政権の継続」を望む意見が26.4%、「政権交代」への期待は63.5%と実回答人数では、調査の全回答人数の3割を超えた。

【次期衆院選後の政権】
自民党中心の政権に期待 40.1%
政権交代に期待 52.8%

【次期衆院選後の政権 支持政党別】
自民党中心の政権に期待 政権交代に期待
自民支持層 86.5% 10.7%
公明支持層 73.8% 26.2%
立憲支持層 7.5% 87.2%
維新支持層 28.0% 64.1%
共産支持層 15.0% 85.0%
国民支持層 20.3% 79.7%
無党派層 26.4% 63.5%

次の総理候補 石破氏・小泉氏、次いで、上川氏・河野氏が定着化

調査でも、次の総理にふさわしい人を聞いたところ、最も多かったのが「石破元自民幹事長」17.7%、「小泉元環境相」14.1%となった。

年明け1月以降、次の総理候補、次の総裁候補の質問を毎月行っているが、2ケタ支持を得ているのは、上位二人のみで、石破氏・小泉氏の“ワン・ツー”が年初来定着している。

続く3番手は、「上川外相」7.9%、「河野デジタル相」7.7%で、麻生副総裁の「このおばさんやるね」発言で、上川外相の注目度が上がって以降、3カ月連続で、3番・上川外相、4番手・河野デジタル相が、一ケタ後半支持でこちらも定着化しつつある。

一方の、岸田首相は、「高市安保経済相」5.9%、「菅前首相」5.4%に続いて「岸田首相」2.5%と、2%台7番手で低迷が定着しつつある。

ただしこのトレンドは5月以降、大きく変化することも予想される、4月28日の衆院補欠選挙は、東京・島根・長崎の3小選挙区で、派閥裏金問題が発覚以降、初めての国政選挙となる。自民党は島根以外は“不戦敗”、自民・立憲の一騎打ちでの島根で負けると「3戦全敗」となる。補欠選挙の行方は予断を許さないところだが、自民党内では「3戦全敗」となると「GW以降、動く」との声もきかれるなど、派閥解消後の自民党内の政局が動き出すとの見方も多数聞かれる。

【次の総理にふさわしい人】
石破元自民幹事長 17.7%
小泉元環境相 14.1%
上川外相 7.9%
河野デジタル相 7.7%
高市経済安保相 5.9%
菅前首相 5.4%
岸田首相 2.5%
林官房長官 1.8%
野田元少子化相 1.4%
茂木幹事長 1.3%
泉立憲代表 1.0%
馬場維新代表 0.2%
この中にいない 28.0%

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