【家電のことはオイラに聞いて!】#46
「衣類ケア」という言葉があります。衣類ケアの解釈は幅広く、店頭販売時の状態に戻すのが理想的ですが、着ている人を不愉快にさせなければという考えもあります。
最強ケアは「洗濯」です。汚れを落とす、乾かす、形を整える、畳む、収納。洗うだけでなく、ここまでします。
しかしケアは洗濯だけではありません。冬場のコートは、洗濯ではなく「デーリーケア」をしながら着るものです。デーリーケアの観点は3つあります。「シワがない」「ニオイがない」「清潔なこと」です。これをやってのけるのが「アイロン」です。
「アイロン」は初期から家電化された道具です。かつては火のついた炭をアイロンの中に入れて使っていましたが、温度コントロールができない。このため電気アイロンはよく売れたそうです。
パナソニック(旧・松下電器産業)創業当時、目玉商品は「二股ソケット」でした。このソケット、片方で電球を使いながら、もう片方で他の家電に電気供給できるため売れに売れたのですが、「他の家電」はアイロン想定です。しかし「熱」だけではシワを取りにくい。繊維をシワから解放するのに重要なのは「水」です。絡まったりクセが付いた繊維を水で解放します。今のアイロンが特殊用途を除き「スチーム」アイロンになったのはそのためです。
アイロンも衣類スチーマーも便利ですが、部分ケアです。見落としをなくすために、ケアは全体にしたいもの。それを最も手軽に行えるのが衣類乾燥機です。
ですが、単体の衣類乾燥機の需要はあまりありません。理由は、ほとんどのドラム式洗濯機が洗濯・乾燥機だからです。
さらにカタログを見るとよく次のように書かれています。洗濯容量‥10キロ、乾燥容量‥5キロ。洗濯乾燥連続で行えるのは5キロまでとなります。それ以上乾燥させる場合は、洗濯が終わった時点で一部取り出して外に干すなどの作業が必要です。乾燥はシワがよらないように洗濯物を宙に浮かせ、風を当てて乾かすからです。このため洗濯以上のスペースが乾燥には必要になるのです。
ですが、単体になれば大容量化して、洗濯容量=乾燥容量にもできます。それどころか、乾燥機を「自動衣類ケア機」として使うことも可能です。中でスチームを噴出。シワをのばせる状況をつくり、ドラムを回転、温風を当てシワをのばす。スチームにはニオイ消し、除菌の効果もある。デーリーケアがワンボタン。今お使いの縦型洗濯機に追加しても便利です。
問題は置き場所。ドラム式洗濯機とほぼ同じサイズですから結構な大きさなのです。また乾燥機は洗濯物から出た水分を処理しなければなりません。普通は排水口処理ですが、今どきのモデルは、乾燥処理した水分を排水タンク内にためられたりします。こうなると乾燥機をダイニングなどに置くことも可能です。
今年発売されたハイアールのヒートポンプ式衣類ケア乾燥機FUWATO(フワット)はそういうところまで考え抜かれたモデルでしょう。
(多賀一晃/生活家電.com主宰)