公園で「困った」私物放置 ヘルメットや倉庫…3月には事故も 佐世保市がルールづくりへ 

公園に長期間放置された所有者不明の私物=佐世保市内の公園

 長崎県佐世保市の複数の公園で、住民らが持ち込んだ野球用ネットや倉庫などの私物がそのまま放置され、市が処理に頭を抱えている。3月には男子中学生が所有者不明のネットの支柱につまずき頭部を負傷する事故も発生。市は「公園利用者の安全確保が第一」として、長期間放置された私物の撤去へ動き出す一方、条件付きで設置を容認するルールづくりも検討し始めた。
 市東部の東浜町にある東浜公園。3月9日午後1時ごろ、野球をしていた市内の中学1年生が、長い間放置されていたネットと支柱につまずき金属部分に頭をぶつけてけがを負った。ネットと支柱は何かのスポーツ競技用とみられ、所有者は不明。市がこの公園を調べたところ、ほかにもバットやヘルメット、サッカーゴールなどが次々と見つかった。
 市は事故を受け、東浜公園以外でグラウンドが整備されている10カ所の公園を重点的に調査。すると、大塔町の大塔公園や三川内本町の三川内中央運動公園などでも所有者が分からない野球のティーネットや倉庫などが見つかった。処分するとなると相当の量。市の担当者は「公園はみんなで使う公共の場であることを分かってほしい」と理解を求める。
 市によると、公園には原則、公園施設として認められる物以外は常時置くことはできない。悪質な場合は都市公園法違反に問われる場合もあり、全国では無許可で遊具を設置した男性が逮捕されるケースもあった。そうした中、市は「住民の利用があってこその公園」との立場から、持ち込まれた私物があっても一定、目をつぶってきたのが実情だという。
 公園利用者からは「放置はやはり危険。撤去してほしい」との声があるが、一定理解を求める声も。東浜公園近くに住む男性は「私物を置いておくのが厳しくなると公園を利用しにくくなる」と漏らす。
 市は今回の調査を機に、持ち込まれた私物の取り扱いについて、ルールの明確化を検討し始めた。基本的には利用の頻度や物の状態、将来的に利用される見込みのあるものは設置許可を出して容認していく方針。所有者が分からない長期放置の私物については撤去していく。また年1回行っている定期点検でも、市内にある約440カ所の公園で持ち込まれた私物がないかどうか詳しく調査する考え。
 公園緑地課は「公園の利用に支障がないよう、利用者は最低限のマナーを守って利用してほしい」と呼びかけている。

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