道が流され、客とともに一時孤立状態に…台風7号豪雨被害を受けたキャンプ場 爪痕残るも、ついに営業再開へ

去年8月、台風7号による豪雨で鳥取県東部などでは大きな被害を受け、今なお復旧作業が続いています。こうした中、被害の爪痕がまだ残る中でも営業再開を決めた施設があります。再出発を決めた理由とは。

BSS取材班は先週、鳥取市佐治町に向かいました。道はまだ片側通行が多く途中には土砂で応急処置をした道も。

そしてたどりついたのは山王谷キャンプ場。リーズナブルな価格が人気で、敷地内の宿泊施設「たんぽり荘」の裏手には清流が流れ、河原でバーベキューや、夏場は沢遊び・魚のつかみどりなどが楽しめます。

しかし、去年8月から休業しています。その理由が…

鳥取県東部などを襲った台風7号による豪雨。佐治町でも川の増水による道や橋の崩落、水道管の破損など甚大な被害が発生しました。

そして、それはここ山王谷キャンプ場でも。

山王谷キャンプ場 たんぽり荘 信清健二さん
「東日本大震災の津波と比べるのはちょっと失礼かもしれませんけど、津波が来たかのような、恐怖がちょっと分かったような気持ちになりました」

ここの管理人・信清健二さん。当時の様子をこのように語りました。

これはその時に撮影した映像。橋の高さに達するほど増水した川の水は、堤防を破壊しました。水が、たんぽり荘側にあふれ出ています。

山王谷キャンプ場 たんぽり荘 信清健二さん
「川の水位が2メートルぐら上がって流れている様子を見た時は、本当に恐ろしいなと思いましたし、施設の中にも水が入ってきたりしました」

当時、キャンプ場とたんぽり荘には利用客が1組ずつ残っていましたが、途中の道が流されてしまったため、信清さんとこの2組は孤立状態に。不安な数日を過ごしたといいます。

山王谷キャンプ場 たんぽり荘 信清健二さん
「中学生の子どもさんもおられましたので、精神的にもかなり不安が大きかったと思いますので、無事に脱出できてよかったんですけど、それまではだいぶ心配でしたね」

数日後に孤立は解消しましたが施設の1階は泥水まみれ、給水設備も壊れてしまったため営業は休止に。再開の目途も立たなかったといいます。

しかし今年に入り…

山王谷キャンプ場 たんぽり荘 信清健二さん
「ようやく復旧の目途が立ちまして、営業再開できることになりました」

地下水をくみ上げる給水設備の修理が完了。1階に残っていた泥も専門業者に取り除いてもらい、なんとかお客さんを迎えられる状態になりました。

ただ営業再開にはある不安があると言います。

安松裕一 記者
「ご覧のように川の両側には高さ2メートルほどの土砂が堆積していますが、これは去年の大雨で流されてきたものだということです」

バーベキューなどを楽しめる自慢の河原は、大雨の後、まったく姿が変わってしまいました。河原部分だったところには大量の土砂が堆積したままです。堆積した土砂はくずれやすいため危険な状態です。

キャンプ場の方もテントは張れる状態ですが、ところどころ雨でえぐれてしまったところがあります。

「ここは歩ける場所だったんですけど、大量の水が流れてきてえぐり取られてしまいました」

こうした爪痕が残る中でも営業再開を決めた理由、それは、このキャンプ場の再開を心待ちにしているお客さんたちの声でした。

山王谷キャンプ場 たんぽり荘 信清健二さん
「昔から家族でキャンプや宿泊に来てくださる方から励ましの言葉をいただいたり、何かできることがあったりしたらしますよ、という声をいただいたりしてありがたかったです」

営業再開日は27日。すでに宿泊の予約も入っているということです。

復旧作業を平行しながらの再出発。今できる最大限のおもてなしでお客さんを迎えます。

山王谷キャンプ場 たんぽり荘 信清健二さん
「とにかく川遊びをされる時は、本当にくれぐれも気を付けて遊んでいただいて、キャンプは今まで通り楽しんでいただけると思いますので、よろしくお願いします」

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