少し車から離れただけで「緑のおじさん」に駐禁の切符を切られました。なぜ警察でない人が取り締まれるのですか?「無視」してはダメでしょうか?

街中で駐車禁止を取り締まる通称「緑のおじさん」とは

街中に駐車しているバイクや自動車の周囲で仕事をする、全身グリーンの制服を着用した2人組。全身緑の服装をしていることから通称で「緑のおじさん」と呼ばれることも多いですが、正式名称は「駐車監視員」です。警察官に代わって放置駐車違反の確認などの仕事を行う民間企業の従業員であり、「みなし公務員」です。

みなし公務員は業務中に限って公務員としての扱いを受けます。これは、駐車監視員が業務中に違反者から反抗された場合に保護を受けるためです。

なお、「おじさん」とは呼ばれていますが、実際は「おじさん」に限らず駐車監視員の仕事ができます。

駐車監視員になるには「駐車監視員資格者講習」を受講することになりますが、18歳以上の人で、自己破産や犯罪歴の有無などの一定条件を満たせば、年齢や性別に関係なく受講できます。

なぜ緑のおじさんが駐禁切符を切れるのか

駐車違反の取り締まりといえば、警察官が行う業務というイメージを持っている人も多いでしょう。しかし、2006年の法改正によって警察庁が業務の効率化を図る目的で、民間企業に委託することが可能になり、これによって駐車監視員の仕事が生まれることになりました。

駐車監視員は、警察署が公表するガイドラインに基づいて指定されたエリアを2人1組で巡回します。駐車違反の車両を見つけたら、ナンバープレートの番号や違反場所などを記録したうえで「駐車違反確認標章」という黄色いステッカーを端末でプリントアウトし、違反車両の目立つ場所に貼り付けます。

民間の会社員である「緑のおじさん」が警察と同様に駐車違反を取り締まれるのは、駐車監視員がみなし公務員であるためです。駐車違反をしている車の取り締まりを行っている最中のみ公務員と同じ扱いを受けます。

緑のおじさんの駐禁切符は無視できないのか

駐車監視員が車両に貼り付ける「駐車違反確認標章」を受け取った所有者は、警察署に出頭して反則金を納付する必要があります。出頭しない場合は、「使用者責任」として放置違反金を支払うように通知が届きます。

また、自分の車が駐車違反の対象になったことが気に入らずに駐車監視員に暴力をふるったり、取り締まりの業務を妨害したりすると、公務執行妨害罪が成立します。

緑のおじさんが駐車違反の取り締まりに関してはみなし公務員として公務員と同じ扱いを受ける以上、駐車違反の罰則を無視したり逃げたりすることができません。

まとめ

「緑のおじさん」はあくまで通称で、実際は駐車監視員という「みなし公務員」です。駐車違反の取り締まりに関しては公務員と同等となるため、もし駐車違反の切符を切られても逃げたり無視したりすることはできません。

緑のおじさんに駐車違反の切符を切られることのないよう、道路交通法を守って駐停車することを徹底しましょう。

出典

警視庁 駐車監視員・放置車両確認機関とは
神奈川県警 駐車監視員資格者講習・認定考査・資格者証交付
千葉県警 放置駐車違反取り締まり

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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