米アリゾナ州、トランプ前大統領の元顧問ら起訴 2020年大統領選で偽の選挙人

米アリゾナ州は24日、2020年大統領選挙における同州でのドナルド・トランプ前大統領の敗北を不法にひっくり返そうとしたとして、前大統領の顧問らを起訴したと発表した。前大統領は起訴されていない。

アリゾナ州当局は、共謀や詐欺などの罪で18人を起訴した。トランプ前大統領の顧問を務めたルディ・ジュリアーニ元ニューヨーク市長とマーク・メドウズ元大統領首席補佐官が含まれている。

同州では2020年大統領選で、ジョー・バイデン大統領が1万457票差で勝利した。しかし、「偽の選挙人」がトランプ前大統領が勝利したと議会に報告したとされる。

こうした方法で選挙結果を覆そうとしたとして、共和党関係者を訴追しているのはアリゾナ州が4州目。他はネヴァダ、ミシガン、ジョージアの各州で、すべて今年11月の大統領選で接戦州となることが予想されている。

アリゾナ州の大陪審は、1年間にわたり事件を調べた結果、起訴に同意した。

同州のクリス・メイズ司法長官(民主党)は24日夜、ビデオ声明で起訴を発表。「アメリカの民主主義が損なわれることは許さない。それにはあまりに大事すぎるものだからだ」と述べた。

また、「もしこの計画が成功していれば、アリゾナ州の有権者は、自分たちの選んだ大統領への投票がきちんと集計される権利を奪われていた」とメイズ長官は述べ、「事実上、有権者の投票する権利が無意味になっていた」とした。

現職の州議らも起訴

24日に公開された起訴状では、被告18人にのうち11人の名前が示され、7人は伏せられている。

ジュリアーニ元市長とメドウズ元主席補佐官の名前は、どちらも明示されていない。だが、両者を含め名前が伏せられた7人は、誰なのかが分かる形で言及されている。

起訴状には、訴追対象ではない共謀者として「米大統領経験者」も登場する。これは、トランプ前大統領を指すものとみられる。

名前が明らかにされている被告には、アリゾナ州共和党の委員長だったケリー・ウォード氏、夫のマイケル・ウォード氏、州議会現職のアンソニー・カーン議員とジェイク・ホフマン議員らがいる。

ホフマン議員は米CBSニュースに、自らの無実を主張。自分は「司法を使った露骨な政治的迫害」の犠牲者だと述べた。

州検察は、すべての起訴状が正式に被告に届けられた後に、全員の名前を公表するとしている。

2021年1月6日の連邦議会襲撃事件と、トランプ前大統領が選挙結果を覆そうとしたとされる疑惑をめぐっては、民主党主導の下院特別委員会が調査した。それによると、偽の選挙人の計画は、大統領選の結果を決定する選挙人団の制度を侵害しようとする試みだった。

バイデン氏が勝利した州のうち、共和党が議会多数派の7州で、共和党員の選挙人を選出するか、選挙人をまったく出さないようにする試みがなされたという。

アリゾナ州では、本物の選挙人による票の代わりに集計させようと、偽の選挙人の証明書が上院に送付されたとされる。

(英語記事 Arizona indicts Trump allies over 2020 fake elector scheme

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