【天皇賞(春)】「前年の3着以内馬」が複回収率195% データで導く穴馬候補3頭

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データで見る「穴候補3頭」

今週末の京都メインは天皇賞(春)。国内唯一となる古馬の平地3000m級GⅠであり、名うてのスタミナ自慢たちが淀の2マイルに集う一戦だ。

タイトルホルダーが現役を退き、前年覇者ジャスティンパレスはドバイ遠征後で不在。前哨戦を圧勝したテーオーロイヤルと菊花賞馬ドゥレッツァが中心視されるが、それ以外は大混戦の様相となる。今回も様々な切り口のデータを駆使し、3頭の穴候補を導き出した。

黙ってリピーター買いでOK! ディープボンド

まず1頭目はディープボンド。4、5、6歳時にこのレース2着があるステイヤーで、「4度目の正直」をかけて今年も参戦する。

天皇賞(春)は昔から“リピーター”が多い。古くはメジロマックイーンの連覇→翌年2着があり、その3連覇を阻んだライスシャワーも隔年で2勝、ほかテイエムオペラオー、フェノーメノ、キタサンブラック、フィエールマンが連覇を達成した。複数回馬券に絡んだ馬は86年以降で16頭もいる。3200mの特殊条件ゆえに、1年の間に出てくる新興勢力は数が限られる。適性のある馬はここを春の最大目標として使われ、繰り返し好走する。新陳代謝が緩やかな路線と言えるだろう。

過去10年のデータでも、前年の1~3着馬は【3-5-0-6】複勝率57.1%、単回収率112%、複回収率195%と好成績かつ高回収率だ。ちなみに同4着以下馬は【2-1-1-27】複勝率12.9%で単回34%、複回47%と低調である。天皇賞(春)を占うには天皇賞(春)。前年の着順こそ最重要ファクターなのだ。

前年3着のシルヴァーソニックもいいが、ここは同2着ディープボンドを選んだ。阪神大賞典は7着に敗れたが、レースラップは前中後半1000m63.7-65.2-57.9というスローペースの上がり勝負。消耗戦に強い反面、こういう展開に弱いのは今に始まったことではない。もう少し長距離戦らしい競馬になれば再浮上可能だ。人気になるであろうテーオーロイヤルには2年前このレースで先着している。勝てない相手ではない。

「中距離GⅡ勝ち馬」を狙え? チャックネイト

続いてチャックネイトを取り上げる。もともと条件戦で堅実に走ってきたが、昨年春に去勢されたあとはさらに上昇。4戦2勝でAJCCを制した。

天皇賞(春)は「中距離GⅡ馬」がよく走るレースという側面もある。理由は仮説になるが、国内の長距離路線は層が薄くメンバーレベルが低くなりがちだから、ではないだろうか。より相手の強い中距離でGⅡを勝つ能力があり、あとは折り合いさえつけばなんとかなってしまうレース。そんな考え方もできる。

実際、過去10年の当レースにおいて「直近1年以内に2500m以下の国内GⅡを勝っていた馬」は【4-6-4-23】複勝率37.8%、複回収率113%と黒字圏内。前走5着以下の馬を除くと【4-6-4-14】複勝率50.0%、複回収率150%とことさら優秀だ。狙ってみよう。

チャックネイトは折り合いに不安がない反面、追い出されてからの反応に少し鈍さを残す。アルゼンチン共和国杯は多少脚を余し気味の3着だったし、AJCCは4角で早々にステッキが入りながら、ゴール前でボッケリーニを差し返した。未知の領域となる3200mへの距離延長も、不安より楽しみが大きい。

「長距離の横山典弘」が神業で魅せる マテンロウレオ

最後はマテンロウレオをチョイス。注目ポイントはなんといっても名手・横山典弘が騎乗するところにある。

横山典騎手の平地3000m以上での通算成績は【11-14-10-58】複勝率37.6%、単回収率157%、複回収率118%。長距離戦ではプラス収支を叩き出している。

そして、横山典騎手の神業は大舞台の人気薄でその輝きを増す。「GⅡ以上」の「6番人気以下」に限ると【3-2-1-16】複勝率27.3%、単回収率439%、複回収率195%。20年前の天皇賞(春)で10番人気イングランディーレが大逃げを決めた一戦は今でも語り草だ。

マテンロウレオ自身、古馬になってからは重賞戦線でやや苦戦が続いている。ただ、昨年の京都記念でドウデュースの2着、大阪杯4着、そして今年の日経賞4着など、どうも右回りだと内ラチを頼れた時は比較的パフォーマンスが高いように映る。6枠11番と外めに入ったが、逃げてインに寄せられれば怖い1頭、そしてひとりとなる。美技に酔いしれたい。

<ライタープロフィール>
鈴木ユウヤ
東京大学卒業後、編集者を経てライターとして独立。中央競馬と南関東競馬をとことん楽しむために日夜研究し、X(Twitter)やブログで発信している。好きな馬はショウナンマイティとヒガシウィルウィン。



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