【ロープ使った特殊工法行う女性職人】寺院にある『高さ30メートルある塔』をお色直し(仙台市)

【画像】ロープ使った特殊工法 女性職人が挑む

仙台市内の寺院にある高さ30メートルもある塔のお色直し。

ロープを使った特殊工法で行う女性職人について、お伝えする。

男性の先輩職人「せかせかしないで」

梯子を登って、ある作業が始まる。

特徴的な構造物。

ここは、仙台市青葉区国見の高台。

金色のお釈迦さまが祀られた高さおよそ30メートルの「仙台仏舎利塔」だ。

ドーム型の建物は、インドの仏塔をモチーフにしたもので、今年でちょうど築50年。

老朽化が進み、今 修復工事が行われている。

請け負ったのは、足場を組まずロープを使った特殊工法を専門に行う外装工事会社。

クライミングワークス・水野淳一社長

「自分たちはロープを使う作業なので、ロープワーク技術を身に着けるのが大事なのと、仕事を覚える量がありすぎて、中々一人前になれない。(一人前になるには)10年以上は絶対にかかります」

地上より強く風が吹きつける中、バランスを保ちながら丁寧な仕事が求められる職人の世界。

その中に、女性の姿があった。

装備は、塗料を含め30キロ超え。

女性には過酷な仕事だ。

宮城・石巻市出身の23歳阿部郁美さん。

入社して3年、この世界を志したきっかけがある。

阿部郁美さん(23)

「会津(福島)の観音様を、テレビで見た時に綾香ちゃんが映っていて、憧れて入りました」

先輩職人・松本綾香さん

「私のことです」

4歳年上の先輩・松本綾香さん。

プライベートでも仲が良い2人。

でも、高所作業は、一瞬の気のゆるみが命の危険につながる仕事。

松本さんは、優しく時には厳しく阿部さんを見守ってきた。

先輩・松本さん)追い抜く勢いで!

阿部さん)うん、頑張る

先輩・松本さん)来てくれたらうれしい

阿部さん)自分は、追いつきたいしかない。技術もいろいろ追いつきたい

先輩・松本さん)追いつかれないように逃げたい

去年、阿部さんはこの業界に入って一番ともいえる大仕事を経験した。

高さ100メートル「仙台大観音」の大規模修復だ。

体力が必要な逆さまとなっての塗装などは、男性の職人が行った。

クライミングワークス・水野淳一社長

「色々な外装工事があるが、何かを外したり撤去するのは力がいるのでそういったのは男性。下処理系を男性がやって、仕上げの力が要らない作業を女性がやる」

阿部郁美さん(23)「身長が足りない」

男性の先輩職人「いいよ、俺やるよ」

女性には、体格的に不利な面も多い仕事だ。

それでも、阿部さんは狭い場所での丁寧な仕上げなど、女性だからこそできることがあると、やりがいを感じている。

阿部郁美さん(23)

「特殊な作業を、数少ない女性としてやっているので、それを教えられるようになりたい」

一人前の職人になるには、学ぶことがたくさんある。

スイーツを食べる阿部郁美さん(23)

「頂きます!うまい(笑う)」

持ち前の明るさを大切に、いつかは誰もが認める職人になれるようきょうも高所に挑む。

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