「年金額が多い世帯ほど貯蓄額が多い」…正社員男性の「このままではまずい」年金額

(※写真はイメージです/PIXTA)

厚生労働省が令和4年発表した『年金制度基礎調査(老齢年金受給者実態調査)』より、年金受給の知られざる実態について見ていきます。

正社員男性の平均年金額「215.6万円」

厚生労働省による老齢年金受給の実態調査(令和4年11月実施)では、以下のことが明らかにされている。

■受給状況

公的年金(共済組合の年金、恩給を含む)の年金額階級別構成割合をみると、男性では「200~300万円」が47.4%、「100~200万円」が31.8%となっている。平均額は192.6万円。年齢が高いほど金額が高くなる傾向がみられ、75歳以上では「200万円以上」の受給を受けている人が半数以上となっている。

女性では「100~200万円」が37.5%、「75〜100万円」が26.7%となっている。平均額は120.7万円。年齢が高いほど金額が高くなる傾向がみられ、「100万円以上」が半数を超えるのは80歳以上からである。

注)公的年金年金額には、年金支払額を計上しており、支給停止額を含まない(以下同様)。

■平均収入及び年金受給額の内訳

現在の平均収入額をみると、男性331.4万円、女性171.3万円となっている。年齢階級別では、年齢が高いほど収入が低くなる傾向がみられる。

本人の収入総額に占める公的年金収入の割合の平均をみると、男性74.6%、女性84.3%となっている。年齢が高いほど公的年金収入が占める割合が高くなる傾向がみられる。

現役時代の経歴類型別に本人の公的年金の平均年金額をみると、男性では「正社員中心」が215.6万円、「自営業中心」が98.9万円となっている。また、女性では「正社員中心」が155.1万円、「常勤パート中心」が107.4万円、「収入を伴う仕事をしていない期間中心」が120.6万円となっている。

■支出額状況

配偶者あり世帯の本人及び配偶者の支出額階級(月額)別構成割合をみると、「20~25万円」が23.0%と最も高く、次いで「15~20万円」が21.2%となっている。支出額(月額)の中央値は21.2万円となっており、年齢が高いほど支出額の中央値は低くなる傾向がみられる。

配偶者なし世帯の本人の支出額階級(月額)別構成割合をみると、男性では「10~15万円」が23.7%と最も高く、次いで「15~20万円」が19.1%となっている。また、女性では「10~15万円」が25.3%と最も高く、次いで「5~10万円」が23.1%となっている。支出額(月額)の中央値は男性では14.3万円、女性では12.2万円となっている。

平均年金額「215.6万円」…収支は大丈夫なのか?

男性の一般的な会社勤めの場合、平均年金額は「215.6万円」。一方配偶者あり世帯の支出額(月額)の中央値は21.2万円。年金だけの収支で見れば赤字になること必至だ。

ちなみに65歳以上の配偶者あり世帯において、本人及び配偶者の貯蓄額階級別構成割合をみると「100~300万円」が14.0%と最も高く、次いで「700~1,000万円」が11.1%となっている。貯蓄額に格差が顕著にあらわれているが、ともかくこの貯蓄分から生活費を賄っている現状がある。

自分にあった「お金づくり」が求められる時代に

「年金額が多い世帯ほど貯蓄額が多い傾向がみられる。」

同調査に記されていた言葉だ。厚労省は年金について、下記のように発表している。

“高齢期の就労の拡大等を踏まえ、高齢者が自身の就労状況等に合わせて年金受給の方法を選択できるよう、繰下げ制度について、より柔軟で使いやすいものとするための見直しを行います。”『厚生労働省ホームページ』より

2022月4月1日より高年齢者雇用安定法が改正され、70歳までの定年引上げや継続雇用制度の導入などが始まっている。就業期間の延長にともない、年金受給開始時期について、上限も75歳に引き上げられた(令和4年4月から適用)。

「物は言いよう」という言葉が浮かぶ。働けるから年金は先延ばしもできるようにする。そんな仕組みづくりが進んでいる状況だ。

新NISAや不動産投資など、サラリーマンでも気軽に始められる投資手法が広まり、資産形成を促す声が高まっているのは紛れもない事実。自分にあった「お金づくり」は何なのか。早め早めの情報収集が老後の人生のカギを握るだろう。

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