宮下宗一郎知事は25日の定例記者会見で、各都道府県が持ち回りで開催している国民スポーツ大会(国スポ、旧国民体育大会)について、3巡目に入る2035年以降は「見直しが必至。廃止もやむなしと思っている」と述べた。費用や人員の開催地負担に加え、大会運営が硬直的だと問題視した。26年に控える青森県開催はこうした問題とは切り離すべきだとし、「選手強化や施設整備の面で将来につながる素晴らしい大会にしたい」との姿勢を示した。
記者会見で宮下知事は、青森県開催の準備が始まった16年度以降、施設整備費を除いて約24億円を県が負担し、本年度は約25億円の予算を計上していると説明。開催が近づけばさらに多くの経費が必要だとした。
人員面では、現在79人の県国スポ・障スポ局が26年度には100人体制になるとし、「破格の組織体制。非常に負担が重い」と訴えた。競技会場となる市町村の負担も同様に大きいと指摘した。
さらに大会の根幹に関わる最大の問題として硬直的な運営を挙げ、「何から何まで決まっていて、柔軟に対応する余地がない。競争性が全く働かず、事業費が高止まりする構造になっている」と語った。
一方で、青森県開催に向け「3巡目を待たずとも、改革・改善できることをしっかりやっていく。創意工夫しながら負担を軽減し、県民の力でいい大会にしていきたい」と改めて意欲を示した。
国スポを巡っては、全国知事会長の村井嘉浩宮城県知事が今月上旬、「廃止も一つの考え方だ」と発言したのをきっかけに、全国の知事から廃止を含めた在り方の見直しを求める声が相次いでいる。宮下知事は「直近の大会に水を差すような報道になっていて非常に残念。村井会長には発言の機会に配慮いただきたかった」とも述べた。
青森県での国スポ開催は、1977年の「あすなろ国体」以来49年ぶりとなる。冬季大会は2026年1~2月、本大会と全国障害者スポーツ大会(障スポ)は同10月に県内各地の競技会場で行われる。