『Re:リベンジ』三つ巴の攻防が予測不能な展開に 錦戸亮の不敵な笑みに隠れた真の目的とは

「完璧すぎて逆に信じられない」という言葉がピッタリな男がいる。優秀で誰からも好かれ、まるで秘密がないかのように振る舞う天才外科医、大友郁弥(錦戸亮)。だが、彼の完璧な仮面の下に隠された真の顔は誰も知らない。彼の秘密を暴こうとするのは、父の不審な死の真相を追う天堂海斗(赤楚衛二)だ。木曜劇場『Re:リベンジ-欲望の果てに-』(フジテレビ系)は、そんな病院の闇を舞台に、若き医療者たちの熾烈な戦いを描く、骨太のサスペンスドラマだ。

物語の主人公は、天堂記念病院の前理事長である父・天堂智信(光石研)が不審な死を遂げたことを疑う天堂海斗。海斗は、新たに赴任した大友郁弥が父の死に関与しているのではないかと疑念を抱き、真相を突き止めるため、記者時代の経験を活かして天堂記念病院の広報部で働くことになる。

同じく広報部の同僚であり従兄弟の天堂佑馬(青木柚)に協力を求め、智信が急死した日の監視カメラの映像をチェックした海斗は、容態が急変した前後の映像が不自然に消されていることに気付く。さらに、監視カメラの閲覧履歴には郁弥の名前があり、海斗は先を越されてしまったことを知るのだった。

一方、天堂一族による会食の席で、海斗は郁弥の存在に驚く。会長である天堂皇一郎(笹野高史)は、郁弥が提案した新病棟プロジェクトの新プランを紹介するが、それは智信の悲願だった心臓血管外科センターではなく、予防医療センターを建設するというものだった。新理事長である海斗の伯母・天堂市子(余貴美子)は、一族以外の者にこのような権限を与えることに不満を爆発させるが、皇一郎は「結果を出さない人間はいつまでも病院においておけん」と市子を一蹴し、郁弥の肩を持つのだった。会食後、海斗は郁弥に対し「全て奪うつもりですか? 父からも俺からも」と詰め寄るが、郁弥はただ不敵に微笑むばかり。

海斗の出版社時代の後輩・木下紗耶(見上愛)は、取材中に海斗の元恋人・朝比奈陽月(芳根京子)と遭遇する。紗耶は陽月に、海斗が本当に5カ月間眠らされていたことを伝えるが、陽月は信じられない様子。紗耶は「私はこの事件に大友先生が関わっていると思っています」とキッパリと切り出し、真相解明への決意を見せる。

一方、海斗は看護師から衝撃の事実を知らされる。郁弥が陽月の妹・朝比奈美咲(白山乃愛)の担当医であり、さらに郁弥と陽月が婚約したというのだ。智信の死の真相を追う海斗だったが、事件は思わぬ方向に進展していく。郁弥はボイスレコーダーと証拠の映像を用いて市子を犯人に指摘した。郁弥はカルテの改ざんから事件の謎に気づき、真相を追っていたようにも見えるが、どう考えても“それだけ”ではないのだろう。「私はあの椅子に座って見せます、必ず」「お前の思い通りにはさせない」と言葉をかわす二人の激しい対峙は、第3話にきて新たな局面を迎えようとしていた。

第3話では、「郁弥を消したい人物」である天堂佑馬がキーマンとなる。青木柚は、『神回』『まなみ100%』『Love Will Tear Us Apart』と話題作への出演が続く、今注目の若手俳優だ。彼の演技は、現代の若者特有の静かな孤独感や、その中からもがいた先で希望を見出す姿を見事に体現している。

特に青木の秀逸な演技力が光るのは、等身大の若者の心に巣食う仄暗い感情を表現する時だ。佑馬役においても市子の期待を背負うも応えられない、そんな葛藤を浮き彫りにすることで、キャラクターに静かな躍動感を与えている。本作ではまだ共演シーンを見られていないが、共演回数の多い紗耶役の見上愛との掛け合いのシーンも作中にあるのか気になるところだ。

第3話での「市子が黒幕である」という展開は、一件落着かと思わせて、実はこれが物語の本当の幕開けに過ぎないことを予感させる。郁弥の不敵な笑みの裏に隠された真の目的が明かされるとき、私たちはどんな真実に直面するのだろうか。権力闘争と欲望が渦巻く病院という戦場で、天堂皇一郎と郁弥、そして海斗を巻き込んだ三つ巴の攻防は、予測不能な展開を迎えようとしている。

表向きは治療と信頼の場であるはずの病院に潜む闇の本質とは。それぞれの思惑が交錯する中、登場人物たちが心に灯す「復讐」の炎が徐々に明らかになっていくのだろう。

(文=すなくじら)

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