阿久津さん セブ島に天体観測所 地元の茨城・常陸太田で講演 65歳から夢実現

セブ島に天体観測所を建設した阿久津富夫さんの講演会=常陸太田市中城町

2年前にフィリピン・セブ島に移住し、同島で初めての天体観測所を建設した茨城県常陸太田市高柿町のアマチュア惑星観測家、阿久津富夫さん(68)が21日、同市中城町の市商工会館で講演した。小学校高学年で夜空に魅了され、長年の夢を実現するまでのエピソードや現地での活動などを披露。市内外の天文家や親子連れなどが、阿久津さんが撮影した夜空の星に目を輝かせていた。

講演会「夢は叶(かな)う 65歳からの挑戦」は常陸太田天文同好会(根本義勝会長)が主催し、約120人が集まった。阿久津さんは兄の影響で小学5年生から星を眺めるようになり、天体観測歴50年以上、惑星画像観測30年以上の経験を持つ。医療機器の総合メーカーに在籍中の2003年から約10年間、フィリピンに駐在。大気が安定していて鮮明な惑星が観測できる同国の星空に魅了され、惑星画像を世界に発信した。

阿久津さんは駐在中に「セブ島の星の美しさを発信し、国際交流などにもつなげたい」と決意。65歳の定年退職後にセブ島での天体観測所の建設を夢見ながら準備に入った。新型コロナウイルス感染症の影響で予定が遅れたものの、66歳でセブ島に移住し、昨年3月に天体観測所を開所した。

講演では、現地の人を雇っての建設地の造成工事や施設の建設、大きな四つのずんどう鍋を使って望遠鏡を製作したエピソード、収入を得るためのレストランの整備などを紹介。阿久津さんが撮影した火星や木星、土星などを映し出し、各惑星の特徴などを説明した。

阿久津さんは「望遠鏡をのぞいて星を見た時の現地の人たちの笑顔を見ると造ってよかったと思う」と話し、「自分の決心を後押ししてくれた人たちがいたので夢を実現できた」と振り返った。

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