「完全に狙われてるなと」ファウルを誘う標的に...なぜ木村誠二は“2枚目のイエロー”を恐れなかったのか?【U-23アジア杯】

U-23日本代表は現地4月25日、カタール・ドーハで開催されているU-23アジアカップの準々決勝で、U-23カタール代表と対戦。延長戦の末に4-2で制し、準決勝進出を果たした。

この試合は、41分に相手GKが細谷真大へのファウルで一発退場。イエローカードの数は両チーム合わせて7枚と荒れた展開となった。

そのなかで、不用意なカードをもらわないよう、冷静なプレーと判断を心掛けていたのが木村誠二だ。

木村は45分の競り合いで、自身の肘が相手の顔に当たってしまい、イエローカードを提示された。1人少ないカタールは、日本にも退場者を出して同数にするためにファウルを誘った。木村との競り合いでカタールの選手は、何も当たっていないのに、顔をしかめてうずくまるなど、ずる賢いプレーに出たのだ。

「本当は最初、ゴールキックの時は、(高井)幸大と位置を入れ替えて、幸大に競ってもらおうと思っていたんですけど、入れ替えたところを見て、僕の方に蹴ってきていたので、もうこれ完全に狙われてるなと」

【動画】木村誠二の同点弾!
明らかに狙われていると感じた木村だが、それでも2枚目のイエローを恐れて消極的になるのではなく、しっかりと競り合いでも力強く身体を当てていった。

「ちょっと窮屈な感覚はありましたけど、縮こまって、そらされるよりは、ファウルでもイエローをもらわないような競り方をしていればいいと。

1個目の肘が入ってしまったのはちょっとアクシデントみたいな感じなので、別に変な振り方をしていたわけじゃない。僕自身、クリーンな守備をずっと中学生ぐらいから心がけているので、ちゃんとやってれば、(ファウルを)とられないだろうという自信もあって強気に出れていた部分もあると思います」

67分にヘディングでチームを流れに乗せる同点ゴールを挙げ、守備でも186センチの長身を活かして相手の攻撃をはね返す。頼もしい働きだった。

取材・文●手塚集斗(サッカーダイジェストWeb編集部)

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