「卵なし!」年間1700の巣を撤去 停電防ぐため…終わりなきカラスとの戦い

電柱に作られた「カラスの巣」。そのままにしておくと停電につながるおそれもあることから、福島県郡山市で撤去作業が行われました。

高さ10メートルほどの電柱に作られた、カラスの巣。春先に繁殖期を迎えるというカラスは、ヒナを見守りながらエサを見つけるため、電柱のように見晴らしの良い場所に巣を作る習性があります。

しかし、巣の中にはハンガーなど電気を通しやすいものが混ざっていることもあり、それが電柱の充電部に触れると「停電」につながるおそれも。こうしたことから、郡山市では25日、巣の撤去作業が行われました。

阿部正輝記者「カラスの巣の撤去は、高所作業車を使って2人以上の複数人で行います」

作業の途中で停電が発生しないよう、専門の工具を使い、電柱の充電部に注意しながら少しずつ巣を回収していきます。

「卵なし!」卵やヒナの有無も確認

また、停電のほかにも注意が必要なのが…。

「卵があるかどうか確認してください」「卵なし!」

それは「鳥獣保護」です。巣の中に卵やヒナがいる場合は、県に申請をしたうえで作業をする必要があり、巣を撤去するのではなく、別の場所に移すこともあるということです。

「営巣除去完了!」

25日は、30分足らずの間に2つの巣を撤去しました。しかし、撤去しても巣はまた新たに作られるため、カラスとの戦いは続きます。

東北電力ネットワーク・馬上勝彦さん「一日に平均して大体10か所くらい作られてしまう。工事会社や私たちで取り切れなくなることもある。電柱の間にカラスの巣を発見した場合は、コールセンターに連絡をお願いします」

カラスの巣の撤去数 10年前の倍以上に

実際にカラスの巣による停電がどれくらい発生しているかというと、去年は8件でした。3年連続で増えていますが、過去10年間の平均は5.5件となっています。

一方、東北電力ネットワークが撤去したカラスの巣の数は、去年1年間では1700個を超えていて、10年前と比べると2倍以上に増えています。平均して、毎日5個から6個撤去している計算になり、こうした電力会社の努力があるからこそ、停電がそこまで多くならずに済んでいるのです。

また、カラスは何度も同じ場所に巣を作る習性があるため、撤去する際には再び巣を作られないように専用の器具を設置するなど、日々さまざまな工夫を凝らしているということです。

電柱の上にカラスの巣を見つけた場合、東北電力ネットワークのコールセンター(0120-175-366)まで連絡をしてほしいということです。

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