MUJI HOUSE/(独)都市再生機構、千葉・花見川団地商店街のリノベが完成

団地まるごとリノベーションプロジェクトの第一弾として進められてきた花見川団地のリノベーションにおいて、商店街のリノベが完成した。

MUJI HOUSEと(独)都市再生機構(UR)は、2012年より共同で団地をリノベーションするプロジェクトを開始して以降、22年度末までに61団地、約1200住戸を供給している。その中で、若年層への訴求力や発信効果の高さなどが確認できた。また、21年度からは住戸だけでなく、共用部のリノベや地域コミュニティの形成まで含めて共同で取り組む「団地まるごとリノベーション」を開始した。

その第一弾として選ばれたのが、千葉県千葉市の花見川団地だ。URが昭和40年代に大規模開発した団地のひとつで、賃貸住宅としては5700戸の戸数を持つ。商店街は、当時近隣に買い物施設がなかったため住民の要望が多く、団地開発を進めるなかで創設した。一方で、団地住民の高齢化とともに活気をなくしており、賑わいを取り戻すためリノベに取り掛かった。

リノベにあたっての課題としては、滞留場所が少ない、自転車の走行が多く歩行者とぶつかる危険がある、円形広場が活用されていないなどが挙がった。これらを解決するために、連結使用できる「つながるベンチ」を共同開発し商店街の真ん中に設置、商店街で買ったものをその場で食べられるようなテーブルも配置した。床には自転車の安全な走行を促すガイドラインを引き、自転車と歩行者の共存を図る。円形広場には芝生を養生し、ステージでイベントを行い、人が集まる場にする。また、アーケードを撤去することで、光を取り入れ、明るい空間に改善した。団地の入り口には商店街をイラストにした看板を設置し、団地に住んでいない人にも開かれた場所にする。

左からMUJI HOUSE川内浩司取締役、商店街振興組合 大沢幸治代表理事、UR 都市機構 倉上卓也 東日本賃貸住宅本部長。「商店街バーガー」を手に

ソフト面では、団地への訪問者を増やすため毎月のイベントとしてプチマルシェを開催しているほか、商店街の特産品として「商店街バーガー」や「花見川ブレンドコーヒー」を企画、販売している。さらに、花団盛りあげ隊、花団未来会議を発足し、これまでMUJI HOUSEがファシリテーターとして行っていたワークショップを地元のキーマンに引き継ぐ。

同じく「団地まるごとリノベ」を行っている多摩ニュータウンのベルコリーヌ南大沢団地では、大きなシェアキッチンをつくることで、住戸のキッチンスペースを最小限にし、暮らしやすさと共用部の活用によるコミュニティ形成の両立を実現。まるごとリノベでは、こうした共用部の活用による居住者の生活環境改善に取り組む。また、ソフト面を含めた社会課題の解決に挑みたいとしており、他企業、他団体のプロジェクト参加にも期待する。

自動運転モビリティの実証走行も

今回のプロジェクトでは自動運転モビリティ「GACHA」の実証走行も行う。バス停近くの中央公園噴水広場から団地商店街北側広場まで片道約300mのルートを往復運転、団地住民の移動支援に繋げる。「GACHA」の実証は22年にも行っているが以前の車両から小型化。電磁誘導線を利用した自動運転で、運転手の操作が遠隔から行えるようになった。車内には花見川団地のこれまでとこれからの映像などを流し、対話が生まれる乗車体験を目指す。

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