がん検診受診目標60%に 28年度までに 茨城県が引き上げ

茨城県庁=水戸市笠原町

茨城県は、70歳未満の胃がんや肺がんなどの検診受診率を、2028年度までに60%にする目標値を定めた。これまでの目標から10ポイント引き上げる。県内では約40年前から、4人に1人ががんで死亡するなど死亡原因1位の状況が続く。予防には早期発見が欠かせず、県は市町村に働きかけ、受診率向上を目指す。

県は本年度、がん対策の指針となる「県総合がん対策推進計画」を更新した。計画期間は29年度までの6年間。

厚生労働省の「がん対策推進基本計画」を踏まえ、胃がん、肺がん、大腸がん、乳がん、子宮頸がんの5項目で、各検診受診率の目標値を従来の50%から60%に引き上げた。

県がん・循環器病対策推進室によると、5項目のがんはいずれも「検診による早期発見で、死亡率低下が科学的に証明されている」という。検診の受診率向上が、がんの予防対策に効果があるとして、市町村を通じた住民への受診勧奨を支援していく方針だ。

昨年度はつくば、河内の2市町で、試験的に大腸がん検診の受診勧奨通知に住民ごとの発症リスクを明示した。

河内町では通知対象となった町民に、体格指数(BMI)や喫煙、飲酒状況など個別の健康診断データを活用し、発症リスクの評価結果を案内した。

この結果、同町では、対象となった年齢層の秋季集団検診受診率が前年の約2.5倍増となる約15%に向上した。町保険センターは「今後も効率性などを改善しながら、リスクを示した勧奨通知を続けていきたい」と話す。

このほか、がん検診受診申請のオンライン化を進める。企業と連携し、情報提供や受診を啓発する「がん検診推進サポーター」の養成も強化。28年度までに約千人増となる計9千人まで増やす計画だ。

22年度の国民生活基礎調査によると、40歳から70歳未満の県内がん検診受診率は、胃がん47%、肺がん50%、大腸がん45%、乳がん47%、子宮頸がん42%と、いずれも半数程度にとどまる。肺がんを除く4項目は全国平均を下回る。

県は10月を「がん検診推進強化月間」と定め、キャンペーンやフォーラム開催を通して理解を促し、受診を呼びかけてきた。同室は「受診率の向上には地道な啓発が欠かせない。市町村の取り組みを支え、実効性ある対策を進めたい」としている。

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