「売り上げが上がる投資ではない…厳しい」 7月、新紙幣発行へ「自販機」の対応作業急ピッチで進む 設備費は約200万円…7月までの作業完了は難しいところも

今年7月に1000円札、5000円札、1万円札に新しい紙幣が導入されます。
使い慣れたお札が切り替わっていくのは少し寂しい気もしますが、これを前に、急ピッチで対応を迫られているのが自動販売機です。現場を取材しました。

境港市にある「ビーハート」。
山陰両県で自動販売機の設置や運営を行っています。

そして今、会社はある問題に直面しています。

ビーハート 庄司慎平 社長
「いま弊社では約800台の自販機を管理しているんですけど、その自販機すべてに紙幣を認識する機械がついています。新紙幣に対応していない機械がほとんどなので、それらをすべて更新や新しく対応した機械に入れ替える作業が発生してきます」

新紙幣の導入です。

今年7月3日から、20年ぶりに新しい3種類の紙幣が発行されます。

世界初の3Dホログラムの導入のほか、高精細すき入れという高い技術の透かしなど、世界最先端の偽造防止技術が多く取り入れられています。

新紙幣導入にあたり、ATMやセルフレジ、飲食店での券売機、駐車場の精算機など各所で対応が迫られているのです。

具体的に、どういった対応が必要なのでしょうか。

ビーハート 庄司慎平 社長
「自販機の中開けてみると、ここに紙幣を認識する機械がついています。システム更新だけで済む場合は、持ち帰ってメーカーに送り、更新されたものが戻ってくるので、また付け直すという作業になります。古い機械だとシステム更新ができませんので、外して、新しい機械を購入してつけるしかないです」

業界全体として、新500円玉硬貨導入の時よりも、素早い対応が求められているといいます。

こちらの企業の場合、管理・運営する約800台のうち、メーカー負担を除く、100台ほどの金額を負担しなければなりません。

ビーハート 庄司慎平 社長
「トータルで200万円とかそういったレベルの投資になってくるかと思います。決して、売り上げが上がるなどの投資ではない対応になりますので、非常に厳しいというのが本音です。ただ、実際必要な時にお金が使えないというのが一番お客さんにとっても困ることですので、なるべく早い段階で対応したいと思います」

必要な費用は、およそ200万円。

また、現在、メーカーへの依頼が殺到していることもあり、7月までの作業完了は難しく、1年ほどかけて対応していきたいとしています。

そのため、しばらくは新紙幣が使えない自販機が多く残ると考えられます。

また、山陰政経研究所によりますと、補助金や助成金が使える場合もありますが、飲食店での券売機の更新には数万円から30万円、券売機の購入には100万円ほどかかるとのこと。

こういったことから、新紙幣導入を機にキャッシュレス化がさらに普及することも考えられるということです。

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