社会課題解決と経済成長の両立を目指す「インパクト投資」が約2倍に。投資先分野は「気候変動の緩和」が突出

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日本におけるインパクト投資の推進機関「GSG国内諮問委員会」の事務局を務める社会変革推進財団(SIIF) が4月26日、「日本におけるインパクト投資の現状と課題 2023 年度調査報告書」を発表した。

インパクトとは、「事業や活動の結果として生じた、社会的・環境的な変化や効果」のこと。これまで投資はリスクとリターンの2つの軸で判断されてきたが、ここに第3の軸として「インパクト」を加えたのが「インパクト投資」だ。

報告書によると、2023年のインパクト投資残高は11兆5414億円、前年比197%と、約2倍の順調な成長をとげている。

成長の背景を見てみると、前年度の調査から継続して回答した41組織の投資残高の総額が3兆9762億円増加した。今年度の増加額の70%を占めることから、既にインパクト投資に取り組んでいた組織の取り組みが加速していることが分かる。

「日本におけるインパクト投資の現状と課題 2023 年度調査報告書」

投資先分野を投資残高ベースでみると、「その他」が44%で最も多く、その他以外では「気候変動の緩和」が突出して多かった。

国内の動きを見てみると、2023年6月には、金融庁が「インパクト投資等に関する検討会報告書」と「インパクト投資に関する基本的指針(案)」を公表。10月には経産省がインパクトスタートアップ育成支援プログラム 「J-Startup Impact」を設立するなど、日本政府からの働きかけも活発だ。

今後、インパクト投資への参入を促進するための課題としては、、「インパクト測定・マネジメント(IMM)に関する国内外の動向、先行事例、実務ノウハウの充実」、「情報開示規制等やフィデューシャリーデューティーへの対応事例の充実」などが挙げられた。

調査は、「近年、国内外の各種民間団体や公的機関において、海外では知見・データの蓄積、国内では新たなプログラムやイニシアチブの立ち上げなどの機運醸成が加速しており、こうした追い風や後押しを受けながら課題に対応していくことが期待される」と指摘した。

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