ヤングケアラー支援「心理的な負担軽減に効果」調査研究

利用してよかったと一番に感じる支援(単数回答)

デロイト トーマツは2024年4月24日、ヤングケアラーを自治体や支援団体が効果的に支援していくための取組みや課題をまとめ公開した。支援がヤングケアラー本人の心理的負担軽減の効果がある一方、効果的な影響をもたらした支援が年代により異なることや、世話を受けている家族へのより一層の配慮が求められていることなどの課題も明らかになった。

ヤングケアラーとは、本来大人が担うと想定されている家事や家族の世話などを日常的に行っている子供のこと。調査研究では、1,221の地方自治体、ヤングケアラー78人、家族20人、30の支援団体に対してアンケート調査を実施した。さらに、アンケート調査では把握しきれない、個別の内容を知るためのインタビュー調査を実施し、それらの調査結果を踏まえ、効果的な影響をもたらした取組事例の収集・分析を実施した。なお、調査研究は、ヤングケアラー支援のさらなる充実・強化を目的に、こども家庭庁の令和5年度こども・子育て支援推進調査研究事業国庫補助を受け、「ヤングケアラー支援の効果的取組に関する調査研究」として実施した。

ヤングケアラー本人向けアンケートにおいて、利用してよかったと一番に感じる支援について尋ねたところ、最多は「お世話を必要とする家族や、自分自身のことについての相談」34.6%となった。年代別では、家事能力が相対的に低い小中学生は「家事やお世話の代行、手伝い」のニーズが高く、中学生以上においては徐々に「相談」の割合が高まる傾向がみられた。

本人向けアンケートにおいて、利用してよかったと一番に感じる支援について、その理由を尋ねたところ、年代全般で「精神的な負担、ストレスが減った」「孤独感が減った」「将来について考える時間やきっかけができた」といった精神面のサポートのニーズが高い傾向がみられた。

支援団体インタビューからは、「ヤングケアラーという言葉自体が家族を傷つけることもあるという事実はある。それはメディアを通じて『子供がかわいそう』というイメージがつくられていることが大きい。ヤングケアラーと家族の関係性はケースバイケースであるという理解を広めていくことが重要だと考える」「今現在家族と関わるケースもあるが、ヤングケアラーという言葉のネガティブなイメージから家族へ話してほしくないという子供や若者もいる」などの声が寄せられた。

また、家族向けアンケートで広報活動における留意点を尋ねた際にも「子供に迷惑をかけているのか、と申し訳ない気持ちになる」「自分の子供がヤングケアラーであることがそもそも悪いなと感じている」などの声が寄せられたという。引き続き、より家族への配慮も行ったうえでの広報啓発が求められるとしている。

中川和佳

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