国家公務員でも老後は苦しい?約4割が赤字…退職前に考えておくべきこと

【グラフでわかる】定年退職を迎えた国家公務員の家計の状況。後悔していることNO.1は?

2024年3月13日、人事院は国家公務員の定年退職後の生活を調査した「令和5年退職公務員生活状況調査」の結果を公表しました。

国家公務員と聞くと、「老後は悠々自適なのでは?」と考える人が多いかもしれません。

しかし、調査結果を見ると定年退職後の生活が苦しいと感じている人も多いようです。

本記事では、国家公務員の老後の暮らしの状況について調査結果を用いながら解説します。

記事の後半では、現役世代のうちから考えておくべきことについても紹介しますので、老後資金の準備に取り組む際の参考にしてください。

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国家公務員の約4割が老後の生活で赤字が出ている

人事院が公表した「令和5年退職公務員生活状況調査」では、定年退職を迎えた国家公務員の家計の状況についての調査が行われています。

【写真1枚目/全4枚】定年退職を迎えた国家公務員の家計の状況。写真後半では「ねんきんネット」の活用方法も

調査結果を見ると、「毎月のやりくりに苦労しており、時々赤字が出る」と答えた人が23.3%、「どうやりくりしても、常に赤字が出て生活が苦しい」と答えた人が18.2%となっており、全体の約4割の人が老後の生活に赤字が生じているようです。

国家公務員は年金が多かったり、再雇用先に困らなかったりするイメージがあるものの、実際は多くの人が老後の家計のやりくりに苦労する状況となっています。

約半数の退職者が年金・保険について知っておくべきだったと後悔している

同調査では、「定年前にもっと知っておけばよかったと思うこと」に関する調査も行われました。

「定年前にもっと知っておけばよかったと思うこと」に関する調査

「年金、保険に関する情報」と答えた人が51.6%となっており、半数以上の人が老後の生活に直結する年金や保険の制度について知っておくべきだったと後悔していることが分かります。

また、「資産運用に関する情報」と答えた人は44.6%で、前回行われた令和2年度の調査結果から約10%も増加しています。

新NISAやiDeCoの普及で資産運用への関心が高まっている今、現役世代のうちから老後資金の準備に取り組んでおくことは必要不可欠ともいえるでしょう。

では、いざ老後を迎えたときに後悔しないために、現役世代のうちにどのような対策をしておけばよいのでしょうか。

続いての章で紹介していきましょう。

定年前に考えておくべきこと3選

ゆとりあるセカンドライフを送るためには、現役世代のうちから老後の暮らしについてしっかりと考えておく必要があります。

ここでは、特に大切な3つのポイントについて紹介します。

将来もらえる年金額

セカンドライフで受け取る年金は、老後の生活を支える重要な収入源です。

「老後は年金があれば大丈夫だろう」と漠然と考えていると、実際の受取額にギャップを感じてしまうかもしれません。

将来受け取れる年金額は、日本年金機構の「ねんきんネット」で確認することができます。

ねんきんネットのログイン画面

職業や収入、加入期間などを入力すると、より具体的に将来の年金額を試算できますので、一度確認してみることがおすすめです。

ねんきんネットでの試算方法
  • かんたん試算:画面のクリックだけで年金見込額を試算できる
  • 詳細な条件で試算:今後の働き方や、老齢年金を受け取る年齢、未納分を今後納付した場合など、詳細な試算条件を設定して年金見込額を試算できる

定年後の働き方

男女ともに平均寿命が延びている現在、定年退職後も働き続ける人が多くなりました。

定年後にどのような仕事に就くかは、セカンドライフの暮らし方に大きな影響を与えるポイントです。

「現在の勤務先で再雇用してもらえるだろう」と漠然とした見通しを持つのではなく、雇用先や雇用形態について具体的なライフプランを立てるようにしましょう。

なお、前述の人事院の調査では、「定年退職後の生活や生涯設計について考えるに当たって利用したもの」の調査について、「先輩職員からの話」と答えた人が4割を超えています。

身近に定年退職を迎えた人がいる場合は、再雇用先の見つけ方や現在の働き方などを尋ねてみるのもよいでしょう。

老後資金の作り方

老後資金のようにまとまった資金は、時間をかけて計画的に準備する必要があります。

特に、低金利環境が続く現在では、資産運用の力を借りながら老後資金を準備するのもひとつの方法です。

資産運用を後押しする制度のNISAやiDeCoでは税制優遇も受けられますので、老後資金の準備に活用することを検討してみましょう。

豊かなセカンドライフのためには計画的な準備が大切

人生100年時代といわれる現在、老後資金の準備は誰もが取り組むべき課題といえます。

豊かなセカンドライフを送るためには、現役世代のうちから老後の暮らしを具体的に考えておくことが大切です。

まずは自分のライフプランをしっかりと立てて、どれくらいの老後資金が必要となるのか試算してみましょう。

参考資料

  • 人事院「令和5年 退職公務員生活状況調査報告書」
  • 日本年金機構「「ねんきんネット」による年金見込額試算」
  • 人事院「令和5年退職公務員生活状況調査の調査結果について」
  • 日本年金機構「ねんきんネット」

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