グローバル人財を育てる西鉄の研修制度ベトナム・ホーチミン4泊5日で現地視察&フィールドワーク!

グローバルな人材を育成するために設けられている西鉄の「グローバルチャレンジャー制度」では、今年初めて海外事業視察研修を実施。海外開発事業部や国際物流事業本部(現地法人・NNR社)が拠点を置くベトナム・ホーチミンでの視察の様子を詳しくレポート!

西鉄の海外事業視察研修とは?

グローバルなビジネス展開や訪日外国人への対応を担う人財が求められる西鉄には、海外研修や語学力向上のサポートが受けられる「グローバルチャレンジャー制度」があり、現在約120名の社員がこの制度に登録している。
海外事業視察研修の初回となる今回は、海外開発事業部や国際物流事業本部が拠点を置くベトナムが研修地に選ばれた。参加したのは制度登録者の中で自ら手を挙げた11名。事前に社内オリエンテーションを受け、海外開発事業部の住宅開発や国際物流について学んだ後に、西鉄が拠点を持つベトナム・ホーチミンへ!

研修に参加したメンバー(福岡空港にて撮影)。4泊5日のうち、前後1日は移動がメイン

研修1日目

川に浮かぶリゾート島「Paragon(パラゴン)」視察

不動産開発を手掛ける西鉄の海外開発事業部は、これまで海外5カ国で計23のプロジェクトを担当。ベトナムに進出したのは2015年。ベトナムではこれまでに8プロジェクトの実績があり、複数のプロジェクトが現在進行中だ。

午前中、参加者はホーチミンに駐在する海外開発事業部のメンバーと合流して、開発を手掛ける住宅プロジェクトを視察。ホーチミン市中心部から約53km(車で約60~80分)の場所にある「Paragon(パラゴン)」に向かった。

ホーチミンに駐在する海外開発事業部の係長・西村さん。バスでの移動中、ベトナムで進行中のプロジェクトについて解説してくれた
ダイフック島の全景。黄枠部分が「Paragon」

日本との大きな違いは開発の規模。川に囲まれた約464haのダイフック島に位置する「Paragon」は、敷地面積約45haの開発エリアに480戸を建設予定。住戸の平均土地面積は200㎡超、価格帯は未定だが周辺プロジェクト同様富裕層向けの設定とする予定だ。

このように、開発地が大規模なプロジェクトでは、フェーズを分けて段階的に開発を進めていくのが一般的。ダイフック島全体を見渡すと、過去に開発が完了しているエリアもあれば、まだ更地のエリアもあった。

移動中のバスから見た「ダイフック島」の一部
ダイフック島内の他プロジェクト商談用の立派なセールスギャラリー
セールスギャラリーにある全体模型
開発予定地

まだ何もない開発予定地。見渡す限りの草原! 45haのこの広大な土地に、住宅が増え、新たなまちがつくられていくのだ。
販売自体はまだ先ではあるが、販売開始前までに設計はもちろんのこと、道路インフラ、小型船の船着き場、そしてShow unit(モデルハウスのこと)の整備等を完了させるとともに、移り変わりの激しいマーケットに置いていかれないよう周辺競合プロジェクトのマーケット調査にも気を抜けない。販売開始前のプロジェクトでも、やることは盛り沢山だ。

川に囲まれた「ダイフック島」には小さなポートが設置されている。川が多いホーチミンならではの水上交通も発達しており、中心部からのボート移動も可能。また、自家用の小型船(現地では「Jetty(ジェッティ)」と呼ばれている)を所有している居住者はそれを使用して移動することも。

「Paragon」見学後は、海外開発事業部のパートナーである現地企業・ナムロン社のスタッフおすすめの飲食店へ。敷地内で育てた地鶏を新鮮な状態で調理してくれる、地元民イチオシの名店で、鶏の丸焼きやゆで鶏などを味わった。

西鉄の国際物流について学ぶ「NNRベトナム社」訪問

午後は、空港のすぐそばにある国際物流事業本部(NNR)へ移動。NNRベトナム社の社長を務める上野さんから事業についてレクチャーを受け、現地スタッフとの座談会を実施した。

レクチャー中の上野さん(画面前)
NNRベトナム社のみなさん。事務所では約70名(うち日本人5名)のスタッフが働いている
座談会の様子。正面に立つのは左から石川さん、吉田さん、上野社長、台湾出身のフォンさん

その後、NNRベトナム社があるビルに隣接する貨物ターミナルへ。この物流倉庫に集まる貨物は、重量チェックなどの検査を経て国外へ輸出入される。冷凍室や冷蔵室なども見学し、さまざまな種類・大きさの貨物を取り扱う様子を視察することができた。

現地にいる日本人スタッフに通訳してもらいながら、ベトナム人スタッフの案内を受けた
生鮮食品などを保管する冷蔵室の中
大きな貨物はこのレーンに載せて運ばれる

NNRベトナム社現地スタッフと交流

見学終了後は、上野社長や現地スタッフを交えて懇親会。おしゃれなレストランに案内してもらい、モダンなベトナム料理で乾杯!

現地流の乾杯の合図は「モッ!ハイ!バー!ヨー!」

上野社長、みなさん、ありがとうございました!

上野社長(左から2番目)と現地スタッフのみなさん(左から、福嶋さん、吉田さん、戸畑さん、石川さん)

研修2日目

大規模開発プロジェクト「WATERPOINT(ウォーターポイント)」視察

2日目の午前中は、ホーチミン市中心部から約30km(車で約50分)の「WATERPOINT(ウォーターポイント)」を視察。約165haという広大な敷地内に、8,839戸の分譲マンションと戸建てが建設される予定の大規模プロジェクトだ。

1日目にお世話になった西村さんと、福岡とベトナムを行き来しながらプロジェクトを進めている辰巳さん、東南アジアの事業を統括するベトナム駐在員事務所長の春山さんも合流して詳しい話を聞いた。

段階的に開発が進むなか、最も早い区画では2019年に販売がスタートしたこのプロジェクト。立地が良く高いポテンシャルがある開発地で販売も順調に進んでいたが、今振り返ると、投資目的の購入が多く、実際に住む人が少ないのが現在の大きな課題であり、海外事業のカギとなりそう。開発の進捗や予定、課題などを詳しく教えてもらい、エリア内を見学した。販売や建築だけでなく、長期プロジェクトであるがゆえに見えてくる新たな課題に対して、今まで日本や他東南アジア諸国で培ってきた知恵を振り絞り立ち向かっていることを学んだ。

「WATERPOINT」セールスギャラリー
「WATERPOINT」内のバスターミナル
分譲マンションのショールームを見学。リビングが中心の間取りで、入ってすぐにリビングがあるのもベトナムの住宅の特徴
高価格帯の戸建て住宅のショールーム
すでに入居者が生活している区画。将来的な人口は約5万人を想定している
入居者が利用できるカントリークラブ内にあるプール
「WATERPOINT」内にあるカフェ
これから住宅が建てられる区画を見渡す視察メンバー

人々の暮らしが見える「MIZUKI(ミズキ)」視察

カントリークラブにあるレストランで昼食を取り、午後も引き続き物件の視察へ。2018年から販売がスタートした「MIZUKI」と、翌19年から販売開始の「AKARI」に足を運んだ。

いずれのプロジェクトも第1フェーズの販売は終了。人々が生活している様子を実際に見ることができた。このように、まちが適切に管理され、そこに活気があると第2、第3フェーズの開発にプラスに働いていく。一方で、販売のみに注力し、管理が不十分だとマイナスに働いてしまう。ただ商品を販売するだけではない、常に持続可能なまちづくりを心掛けて開発をおこなっていることを学んだ。

「MIZUKI」入口。看板には「NNR」マークが!
販売中の戸建ての区画。「MIZUKI」で最も高額な住宅の販売価格は、なんと約4億円超!

好立地な分譲マンション「AKARI(アカリ)」視察

分譲マンションが並ぶ「AKARI」。手前には日本式の庭園が見える

視察後、会食会場へ向かうタイミングで帰宅ラッシュに遭遇。バスは信じられない数のバイクに囲まれながら中心部へ。

懇親会では「現地飲食業界事情」も

夕食。春山さんの紹介で訪れたのは、日本人夫婦がオーナーの、グローバルに店舗を展開するベトナム発のピザレストラン「Pizza 4P's(ピザ・フォー・ピース)」。2023年に東京・麻布台ヒルズに国内1号店を出店したばかりの話題店だ。お店では、ホーチミン在住のディレクター・小城さんに事業について話を伺い、ベトナムの飲食店事情も学ぶことができた。

「Pizza 4P's」ディレクターの小城さん
ここでもベトナム式に乾杯!
オリジナルのクラフトビール。おいしい!
自家製ブッラータチーズを使った名物ピザ。品質の高いチーズなどの乳製品はベトナムの隠れた名物

研修3日目

チームごとに目的・課題を設定した「フィールドワーク」

3日目は「フィールドワーク」。3つのチームに分かれて事前にテーマと目的を定め、スケジュールに沿って現地で視察にまわった。

エヌカケル編集部は高宮さん(人事部人事課、2021年度入社)、永田さん(スマートペイメント推進部、2000年度入社)、藤田さん(まちづくり・交通・観光推進部、2021年度入社)、浪平さん(鉄道事業本部計画部計画課、2019年度入社)の4人がいる【チーム1】に合流!
※所属は研修参加時点

【チーム1】(左から)永田さん、浪平さん、藤田さん、高宮さん

スケジュール
9:00 ホテル出発
9:30 みずほ銀行 ホーチミン支店
13:30 46A Banh Xeo
14:30 タンディン教会
15:00 ランドマーク81
16:30 サイゴン中央郵便局
17:15 ビンタイ市場
18:30 ホテル

みずほ銀行ホーチミン支店では、ベトナム経済についてヒアリング。近年著しく成長を遂げているベトナムの経済動向について詳しく学ぶことができた。

(永田さん)
実質GDP成長率は2022年に8%超。2023年も5.8%の成長を見込んでいます。こうした飛躍を支えているのが、ベトナムの豊富な労働力。2030年までに人口は1億人を超えると予測されていて、平均年齢が33歳(2022年度)と若いのも成長の要因となっています。

(高宮さん)
共働きが一般的であり、女性が積極的に社会進出している点もベトナムならではの特徴です。女性の管理職の割合は約39%(2020年度)と、世界的に見ても高い数字。人口全体で経済成長を支えていると言えます。

(永田さん)
課題としては、賃金の上昇や外資系企業の進出で採用が難しくなってきていること。また、投資や企業誘致には積極的ですが、社会主義国であることから法制度の運用が複雑であり、行政手続きに時間やコストがかかることがウィークポイントです。

また、今後は政府の財政難によりインフラの開発が停滞するリスクも。しかし、それでもなお向こう数年間は着実な成長を続ける見込みであり、今後もその動向に注目です。

次に訪れた「サイゴン中央郵便局」は、コロニアル建築が今なお残る歴史的な建造物。観光名所としても有名で、たくさんの海外客が訪れていた。

「サイゴン中央郵便局」内。手紙を出せる郵便窓口や土産店がある

続いて、水上バスに乗り、船上からホーチミン市中心部を見学!

片道の乗船料金は片道1万5000VND(約92円)。交通渋滞を解消するために作られた交通手段だが、観光客の利用も多い。

スマホでGoogleマップを見ながら現在地やランドマークを確認

船を降りたら、バスでフォーの名店へ。チームごとに小型バスが割り当てられ、ガイドさんがついてくれるので移動の心配はナシ!

ところが、目あての店に到着すると、なんと休業の貼り紙が。再度情報を確認して、近くにあるバインセオの人気店へ向かった。

食べ方をガイドさんに確認

想像以上の大きさだったバインセオ。添えられた葉野菜やハーブに包みながら食べるのが現地流だ。記録用の撮影も忘れずに。

食後は、お店から徒歩圏内の「タンディン教会」へ。

19世紀、フランス統治時代にフランス人によって建築された歴史的建造物で、淡いピンク色が美しいカトリック教会だ。

さらにバスで移動して、地上81階建ての高層タワー「ランドマーク81」へ。日本では体験できない高さ!

頂上の81階では、ロープを付けて屋外を歩けるようになっていた。下もスケルトンになっているので地上が丸見え。日本では体験できない高さだ。

さらに移動して「ビンタイ市場」を視察。華僑が多く住むエリアにあり、中にはなんと3,000以上の卸売店が並んでいる。

圧倒的な数の帽子!
商品ジャンルごとに店の区画が決まっている

ビンタイ市場の周辺もあいかわらず渋滞。

日が暮れた後、ようやくホテルに到着してフィールドワークは無事に終了。

チーム1のみなさん、お疲れさまでした!

現地での体験や学びをシェアする「報告会」

チーム1の発表の様子

帰国後は、研修参加者とその上長が集まる報告会を開催。今回の研修を企画した人事部人財開発課の石谷さんと尹さんより、研修全体のふりかえりや学びについて発表があった。

さらにチームごとに分かれて、研修で体験したことや得られた学びを発表。西鉄の事業や個人のキャリアプランにどのように生かしていくのか個人発表も行った。

海外開発事業部の大規模な開発プロジェクトやNNRベトナム社の事業を視察して、普段の業務ではできない貴重な体験を得られた11名。海外で活躍する現地スタッフとの交流も、大きな刺激になったに違いない。

グローバルチャレンジ制度の海外事業視察研修は、来年度以降も開催される予定。ほかにもおもしろい取り組みがあれば、エヌカケルで紹介していきます!

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