冷たい冬の雨の夜、猫カフェ敷地に棄てられていたね 出会いから4年 皆に囲まれ愛され17歳 「さらに幸多い晩年でありますように」

Cafe Gatto の敷地内に棄てられていた猫・はんぺん

福岡県古河市にある古民家を改装した猫カフェ・Cafe Gatto。猫カフェとしての運営のほか、行き場を失った猫たちを数多く救ってきました。

その良心に甘えるかのごとく、2020年1月にCafe Gattoの敷地内に1匹の猫の置き去りがありました。冷たい雨が降る夜でした。

そこにはキャットタワー、段ボールの爪とぎハウス、毛布が被せてあるキャリー、トイレ、食べかけのキャットフード、ペットシーツなどが置かれていました。まるでゴミの不法投棄のような状態でした。

置き去りにされた段ボールの爪とぎハウス。雨でボロボロです

猫とペット用品の上には傘が…

この傘の下に毛布にくるまれた猫がいました

猫が入ったキャリーに毛布が乗せられ、さらにその上に傘が置かれていました。飼い主はこれで雨がしのげるとでも思ったのでしょうか。全て雨に濡れてビショビショ。あまりの無慈悲な振る舞いにスタッフは涙が流して憤りました。

毛布は湿っており、猫は寒さと恐怖から体を震わせながら小さな声でニャーニャーと鳴いていました。スタッフはすぐにこの猫を動物病院へと連れていき健康面での診断をしてもらうことにしました。

明らかに元飼い主からお世話をされていなかった様子

すぐに動物病院へと連れていきました

動物病院での診断では推定13歳ほどのシニア猫。「ひどい外傷は特にない」というものでした。ただし、尻尾や足裏には、汚れがたまっており、明らかに飼い主からきちんとした世話をしてもらっていなかったことがわかる状態でした。

満足な世話を受けられず、ある日連れ出され、雨が降る真っ暗闇の中で置き去りに…その気持ちを想像すると、胸が張り裂けんばかりになるスタッフでした。飼い主からひどい目に遭わされた分、以降の猫生は絶対に幸せになるようにと、Cafe Gattoでお世話することを決意。後にこの猫は、白毛で四角い顔をしていることから「はんぺん」と名付けられました。

猫カフェではみんなから愛される存在に

はんぺんは、Cafe Gattoに来てから次第に穏やかな表情を浮かべるようになり、後には艶のある長い毛並みを取り戻しエレガントな風格を見せてくれるようになりました。そして、訪れるお客さんやカフェの支援者の間も人気者に。かわいい洋服をもらうなど、みんなから愛される存在になりました。

お客さんからプレゼントされた洋服を着てご満悦のはんぺん

Cafe Gattoの施設内に棄てられた日から4年。はんぺんは17歳になりましたが、高齢にもかかわらず、よく食べて健康に過ごしています。そして、Cafe Gattoでははんぺんを「ずっとの家族」として迎え入れてくれる里親さんを募集。高齢ではありますが、辛い経験をしてきたはんぺんの晩年が、さらに幸せで明るいものになることを願うばかりです。

最後にスタッフはこうも語ってくれました。

「どんな事情があろうと、これまでどんなにかわいがって大切にしていようとも、ペットを遺棄することは断じて許されない行為です。『動物を飼う』と決めたのなら、どんなことがあっても最期のときまで一生を共にする覚悟をもつのは当然のことです。この事件を知っていただくことで、心ない無責任な飼い主が増えないことを強く願っています」

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(まいどなニュース特約・松田 義人)

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