人間椅子、2024年春のワンマンツアー『バンド生活三十五年~猟奇第三楽章~』を完走! ファイナル東京公演は満員御礼で大熱狂!「いつの日か武道館でやりたい!」と宣言!

人間椅子が春のワンマンツアー『バンド生活三十五年~猟奇第三楽章~』(全7公演)を開催。4月8日の博多DRUM Be-1公演を皮切りに、遂にツアーファイナルにあたる東京・EX THEATER ROPPONGI公演を迎えた。開演時刻19時にSE「新青年まえがき」が流れると、和嶋慎治(G/Vo)、ナカジマノブ(Dr/Vo)、鈴木研一(B/Vo)の順番にメンバー3人が登場。3rdアルバム『黄金の夜明け』収録の「幸福のねじ」で幕を開けた。冒頭からギラギラしたエッジと重厚なサウンドを刻み付け、この日も3ピースとは信じ難い重戦車ぶりを発揮。続いて「爆弾行進曲」に入ると、演奏はグルーヴ感を高め、「突っ込め突っ込め突っ込め」と連呼する歌詞もインパクト絶大である。

30年以上前の楽曲を2曲続けた後、「35周年ということで今日は古い曲を懐かしみながら、ガンガン演奏しますので。(和嶋を見て)紋付袴姿でカッコイイじゃない」と鈴木が言うと、「35周年ということで、私は周年のたびに紋付袴が着れるということで、大変幸せに思います。こんな機会を作っていただき、ありがとうございます! 還暦ライブは赤いチャンチャンコで行きたいですからね」と和嶋。 さらに今日のツアー・ファイナル東京編は満員御礼ソールド・アウトとなり、カメラの台数も多く設置されているため、もしかしたら年内にお目にかかるかもしれないと映像化を仄めかすMCを入れると、次は「品川心中」を披露。三味線風ギターはもちろん、和嶋による落語パートも大いにウケており、和要素を押し出したハード・ロックに観客は興奮を抑えられない様子だ。演奏後、「落語、上手くなりましたね。ちゃんと2人に聞こえた」と鈴木も絶賛するほど。

ナカジマが和太鼓のごとく野太いドラムを叩くと、「あやかしの鼓」へ。妖しげなムードを放ちながら、後半にテンポアップする曲展開に会場も沸き上がる。また、メンバー3人の緊張感漲るバンド・アンサンブルも聴き応え十分だ。ここで鈴木がGIBSONから提供された新しいベース「GRABBER BASS」を紹介し、和嶋が同製品を使うKISSのジーン・シモンズを引き合いに出し、「Rock and Roll All Nite」のフレーズを3人で少しだけ演奏。それから久しぶりにやると前置きして「マダム・エドワルダ」をプレイ。鈴木の極悪ベースに加え、和嶋は艶かしい声色を放ち、楽曲の世界観に引き込まれていく。ピンクの照明も楽曲のムードを盛り上げ、KING CRIMSON臭漂う曲調も最高だ。「蟲」では再びヘヴィに攻め立てたかと思えば、和嶋は歯でギターを弾き、ライト・ハンドまで披露し、インスト・パートでも会場をガンガン焚きつけていった。

そして、和嶋がバンド名の由来に触れ、江戸川乱歩の小説名から拝借し、ほかに曲タイトルも「人間失格」(太宰治)、「桜の森の満開の下」(坂口安吾)、「ヘヴィ・メタルの逆襲」(伊藤政則)から引用したことに触れ、「ヘヴィ・メタル〜」を少しプレイするサービスぶり。その流れで三島由紀夫・原作のTVドラマ主題歌「命売ります」をプレイ。ナカジマが激しいドラミングといい、「バラババンバ♪」のキャッチーなコーラスといい、フィジカルを揺さぶる演奏に体の奥底から熱くなってしまう。BLACK SABBATH風の「太陽黒点」をやり終えた後、「我々も60歳が近い、アルバム23枚は凄いことで、活動を続けていないと、この枚数にはならない。23枚出しているグループを調べたらROLLING STONESで。日本のROLLING STONESを目指して末長くやります!」と和嶋から力強い言葉も飛び出した。

爽やかな歌メロが映える「死出の旅路の物語」、再びドゥーミーに攻める「悪魔の手毬唄」を経て、繊細なアルペジオをイントロに「深淵」へと突入。ストーリー性豊かな曲調で観客を酔わせると、「六本木のみんな楽しんでるか?」とナカジマは呼びかけ、自らリード・ヴォーカルを務める「地獄小僧」を投下。開放感溢れる勢いに会場も一段と盛り上がり、ショウは佳境に差し掛かる。スラッシーなリフを配した「宇宙電撃隊」でさらなる熱狂を生み出すと、本編ラストはBUDGIEの日本語詞カバー「針の山」をプレイ。言わずもがな、もはや人間椅子のライブには欠かせないライブ・アンセムに会場は大いに盛り上がった。 アンコールに応え、メンバー3人が姿を見せると、「35周年のわりには偏った選曲でしたね。第2弾の秋ツアーはベスト・オブ・ベストの選曲で行く」と鈴木は宣伝。気になる鈴木の体調に関しては今回のツアーリハでまた動けなくなったものの回復し、ツアーファイナルまで何とか持ち堪えたそうだ。今日はステージに腰掛けイスが用意されていたものの、ほぼ座らずにステージを動き回っていた。ここから残り3曲となり、「蛞蝓体操」を経て、海外で大いにバズッた「無情のスキャット」を披露。ナカジマが銅鑼を思いっきり叩き、激重サウンドを観客に突きつけた上で、「シャバダバディア♪」のスキャットで会場を一つに束ねていた。そして、ラストの「なまはげ」演奏時に鈴木はなんとサラシ・フンドシ姿で登場! このサプライズに会場は大盛り上がり、この場にいた人すべてを笑顔にして、全17曲2時間半に及ぶショウをやり切った。

そう言えば、ライブ中に「40、45、50周年……もう少し先まで行きたい」と和嶋はMCで触れていたが、人間椅子にとって35周年は大きな到達点に違いないが、”通過点”という気持ちのほうが強いのだろう。加えて、曲間に何度と「(日本)武道館でやって!」というファンの声が聞こえてきた。その熱意に押される形で「いつの日か武道館でやりたい」と和嶋が口にする場面もあった。人間椅子の日本武道館公演は、会場にいる人たちだけではなく、全国にいる人間椅子ファンが観たいと熱望しているのではないか。日本が誇る最強のハード・ロック・バンドが、いつの日か武道館に立つ日を願わずにはいられない。今日のライブにおいても30年以上前の楽曲から昨年出た最新23thアルバム『色即是空』収録曲まで、全くテンションが変わることなく、どの曲もフレッシュな光を放ち続けていた。常に進化を遂げる切れ味鋭いパフォーマンスこそ、人間椅子の真骨頂と言っていい。年を追うごとに、生き生きしたショウを魅せてくれるメンバー3人の人間力に圧倒されてしまった。【Text:荒金良介 / Photo:西槇太一】

▼「さらば世界」Music Video

https://youtu.be/PAHig2tFeLw

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