子育て支援金「年収別の負担金」が明らかに。年収400万円は月650円が医療保険料に上乗せ?

子ども・子育て支援法などの改正案が、2024年4月19日に衆院本会議で可決されました。

公的な医療保険料に上乗せして徴収される「子ども・子育て支援金制度」の創設に注目が集まります。こども家庭庁は、4月9日に「子ども・子育て支援金」の負担額を年収別に試算していました。

少子化対策の財源として使われる子育て支援金は、加入している医療保険から徴収されます。

では、年収ごとにいくらの負担額となるのでしょうか。

今回は、子ども・子育て支援金について解説します。

記事の後半では、年収別の負担額も解説しているので、最後までご覧ください。

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子育て支援金とは?

子育て支援金は、異次元の少子化対策に充てる財源に活用されます。

具体的な主な支援は、以下の通りです。

  • 児童手当の拡充
  • 育児休業給付金の拡充
  • こども誰でも通園制度

現行の児童手当では所得制限が設けられていますが、2024年10月分から撤廃されます。

また、第3子以降の支給額を3万円に増加し、支給対象も高校生まで拡大する予定です。

【写真1枚目/全3枚】児童手当の拡充内容。では上乗せされる負担金はいくら?以降の写真でチェック

育児休業給付金の拡充は、両親がともに育児休業を取得した場合、手取り額を実質10割にします。

こども誰でも通園制度は、月10時間を上限に1時間単位で子どもを預けられる制度で、2026年からスタートする見通しです。

こうした支援策に財源が必要となるため、子ども・子育て支援金が創設されました。

では、これまで政府が発表している内容について確認しましょう。

【子育て支援金】これまで発表された内容

子ども・子育て支援金は、健康保険料から徴収されます。

各医療保険の種類は、以下の通りです。

  • 協会けんぽ:中小企業に勤めている会社員
  • 健康保険組合:大企業に勤めている会社員
  • 共済組合:公務員
  • 国民健康保険:自営業者や75歳未満の年金生活者など
  • 後期高齢者医療制度:75歳以上の高齢者

協会けんぽや健康保険組合、共済組合は「被用者保険」として区分されています。

支援金は、2026年度から徴収が始まり、2028年度まで徐々に負担額が上がる見通しです。

政府が試算した平均的な所得モデルの負担金を、各健康保険で確認しましょう。

平均的な所得モデルの負担金
  • 協会けんぽ:月700円
  • 健康保険組合:月850円
  • 共済組合:月950円
  • 国民健康保険:月400円
  • 後期高齢者医療制度:月350円

上記の試算結果にあるように、医療保険の種類ごとに負担額が異なります。

公務員が加入する共済組合が最も負担額が高くなりました。

では、年収別に負担額がいくらになるのか、新たに政府が発表した試算結果を確認しましょう。

新たに発表された年収別の負担金

政府が新たに公表した試算は、会社員や公務員の被用者保険の負担額です。

2026年度から2028年度の負担額をそれぞれ確認しましょう。

2026年度

2026年度の負担額は、年収別でみると以下の通りです。

  • 200万円:月額約200円
  • 400万円:月額約400円
  • 600万円:月額約600円
  • 800万円:月額約800円
  • 1000万円:月額約1000円

年収1000万円を超えていると、月額で1000円を徴収する結果となりました。

2026年度の負担額は、各年収のおよそ0.1%を負担する見通しです。

2027年度

2027年度の負担額は、年収別でみると以下の通りです。

出所:LIMO編集部作成

  • 200万円:月額約250円
  • 400万円:月額約550円
  • 600万円:月額約800円
  • 800万円:月額約1050円
  • 1000万円:月額約1350円

2027年度から、年収が800万円を超えると月額1000円の徴収額となります。

2026年度と比べて、負担額は50円から350円の増加する予定です。

2028年度

2028年度の負担額は、年収別でみると以下の通りです。

2028年度の負担額
  • 200万円:月額約350円
  • 400万円:月額約650円
  • 600万円:月額約1000円
  • 800万円:月額約1350円
  • 1000万円:月額約1650円

2028年度から、年収600万円を超えると月額の負担額が1000円を超える見通しです。

負担額は2026年度と比べて、150円から650円増加します。

子育て支援金の創設で、2026年度は6000億円、2027年度は8000億円、2028年度は1兆円を集める計画です。

子育て支援金は家計への負担増となる?

子ども・子育て支援金の負担額が、年収別でいくらになるか解説しました。

今回の政府試算では、徐々に負担が重くなる試算結果となっています。

そのため、家計にも影響が出る可能性があるでしょう。

政府の見解では、賃上げが進めば実質的な負担にならないと説明しています。

とはいえ、すべての企業が賃上げを積極的に実施するかは分かりません。

世帯によっては、負担が重くなる可能性もあるでしょう。

今後、政府の追加発表に注目が集まります。

参考資料

  • こども家庭庁「子ども・子育て支援法等の一部を改正する法律案の概要」
  • 衆議院「第213回国会(常会)」

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