“ヒビあり”1W変更で快進撃 蛭田みな美が自己ベスト「63」に笑顔

自己ベスト「63」を叩き出した蛭田みな美(撮影:上山敬太)

<パナソニックオープンレディース 初日◇26日◇浜野ゴルフクラブ(千葉県)◇6669ヤード・パー72>

昨季、念願のツアー初優勝を飾った蛭田みな美が大会コースレコードを更新する「63」をマーク。9アンダーで単独首位スタートを切った。先週まで2試合連続予選落ちと苦戦していたが、この日は一転して快進撃。フェースに傷があったドライバーのヘッドを新しいものに交換したことで、飛距離も安定性も取り戻した。

正午時点の気象条件は気温25.3度、風速1.5メートル。週初めの雨の影響でグリーンが止まりやすいという絶好のコンディションとなった初日は、好スコアが続出した。そんななか、木戸愛が大会コースレコードを1打更新する「64」でホールアウトする。それをスコアボードで確認していた蛭田は「ついていきたいなと思っていました」とさらなるバーディラッシュ。およそ1時間後には、木戸を上回る「63」でフィニッシュした。

圧巻だったのはハーフターンを挟んでの猛チャージ。8番パー3で5メートルを沈めて、この日2つ目のバーディを奪うと、9番パー5は7Wで2オンに成功してイーグル奪取。後半に入っても勢いは止まらず、10番から3連続バーディを奪い、5ホールで6打スコアを伸ばした。

大会記録だけでなく、ツアーでの自己ベストも更新した蛭田は「大会レコードは知らなかったんですけど、私自身が7アンダーまでしか出したことがなかったので、うれしいです」。普段から笑顔を見せることが多いが、この時はさらに顔をほころばせた。

好スコアの要因は1Wの復調だ。1カ月ほど前からフェースの傷があることには気づいていたが、昨年の初優勝時にも使用していたクラブだけに替えられずにいた。そんななか、ここ2試合は1Wが乱調。「なんでこんなにティショットが悪いんだろうと考えたら、(原因は)もうこの傷ぐらいしかないかなと思って…」。スペアのヘッドに交換すると、安定性だけでなく、ボール初速などの計測値も向上した。

新しいヘッドの実践初投入となったこの日は、14ホール中10ホールでフェアウェイをキープ。平均飛距離は出場選手中20位の251ヤードをマーク。今大会前にもアイアンのライ角をそろえるなど、クラブ調整を担当する父・宏さんは「あれは傷じゃなくてヒビです」と話しており、実際にかなりの影響があったようだ。

まだ初日とはいえ、これだけのビッグスコアをマークすれば、意識するのはツアー2勝目。「今回のヘッドにも情が湧くように頑張りたいですね」。再びの笑顔で、新たな相棒との優勝を誓った。(文・田中宏治)

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