次なる挑戦へ広がる活動 タイムスふれあい事業 小規模福祉施設や団体に助成金 各団体の活動紹介 

[タイムスふれあい事業]

 沖縄タイムス社が県内の小規模福祉施設や団体などに助成金を贈る「タイムスふれあい事業」は、今年で21回目を迎える。助成団体は、革製小物を作るミシンや屋外作業用のアシストスーツ、乗用型の草刈り機などを購入して、活動をさらに充実させている。前年度に助成を受けた7団体のうち、4団体の活動を紹介する。

 

就労継続支援B型事業所Common’s(豊見城)

革専用ミシン使い新商品

購入した革専用ミシンを囲む「Common’s」の幸喜利奈代表(前列右から2人目)ら=18日、豊見城市保栄茂

 就労継続支援B型事業所Common’s(豊見城市)はレザークラフト商品開発のため、革専用ミシン2台を購入した。

 手縫いの試作段階では硬い革に力を入れ過ぎて、針でけがをする人や腱鞘(けんしょう)炎になる人もいた。高価な革専用ミシンを購入するか悩んでいたところ、県セルプセンターからタイムスふれあい事業の募集を聞き、助成を申請した。

 現在は職員と利用者がミシンを使って財布や小物入れ、カードケースなどを作り、イベントで販売を始めている。利用者の女性は「カーブを縫うのが難しいけど、お客さんがうれしそうな顔で買ってくれるのがうれしい」と喜ぶ。

 使わなくなったランドセルを小物に仕立てるリユース事業も検討。幸喜利奈代表は「利用者と思い出を形に残す商品作りに取り組みたい。アイデアが広がっている」と笑った。(南部報道部・新崎哲史)

就労継続支援A型事業所「結の里」(石垣)

乗用型の草刈り機で楽々

乗用型の芝刈り機を前に笑顔を見せる「結の里」のメンバーら=19日、石垣市名蔵

 2017年に運営が始まった石垣市名蔵の就労継続支援A型事業所「結の里」では、ひげにんにくの水耕栽培をしている他、宿泊施設の除草作業などを請け負っている。

 従来は手押し式の草刈り機を使用していたが、助成を受けて、昨年8月に乗用型の草刈り機を購入した。作業のスピードが格段に向上したという。今年5月からは新しい除草業務も受注している。

 結の里合同会社代表の野口渉さん(68)、妻の美奈子さん(49)は「これまでは草刈りのたびにどっと疲れていたが、導入後はメンバーも余裕が出て、喜んでいる」と話す。

 炭作りを始めるなど、余った時間で別の事業展開にもチャレンジしている。事業所で働いている慶田花朋己さん(23)も「草刈り機で作業が速くなった」と喜んでいる。(八重山支局・矢野悠希)

知的・身体障がい者通所施設「フレンズハウス」(北中城)

笑顔生むアシストスーツ

アシストスーツを活用しているスタッフと利用者=8日、北中城村安谷屋の「フレンズハウス」

 北中城村にある重度の知的・身体障がい者の通所施設「フレンズハウス」(照喜名名太(めいた)代表理事)は、「障がいのある人もない人も、みんな一緒に普通に暮らせる社会になるといいね」を基本理念に、利用者の外出支援などに取り組んでいる。

 助成金は、職員の負担軽減を目的にアシストスーツの購入に充てた。スタッフの8割が女性で、車椅子などの重い物を運んだり、利用者の屋外活動に付き添いをしたりする際に、アシストスーツを導入することで活動の幅が広がるとの思いがあった。

 スタッフの平良証子さん(58)は「スーツを着たら利用者とダンスを踊ったり、立ったり座ったりの作業も楽になった」と笑顔。照喜名まゆみさん(38)は「職員みんなで力を合わせ、利用者が楽しんで安心して過ごせる時間を提供したい」と話した。(中部報道部・吉川毅)

児童デイサービス「咲心(にこ)」(那覇)

クーラーでケア児ら快適

助成金でクーラーを購入した「咲心」のスタッフと児童ら=22日、那覇市与儀

 2022年に開所した児童デイサービス「咲心(にこ)」は、心身に重度の障がいがある2~15歳の計14人が利用している。助成金でクーラーを1台購入。管理者の宮里みさえさんは「熱中症が心配な夏も快適に過ごせている」と喜ぶ。

 児童の多くは医療ケアが必要で、体の緊張により発汗しやすく、体温調節が難しい。冷房機器を使って室内の気温を25度前後に保つのは、児童をケアする上で欠かせない。梅雨の時期には除湿を、冬の寒い時期は児童が冷えないよう暖房をかけ「年中、大活躍」(宮里さん)と喜ぶ。買い替えてからは電気料金も抑制できているという。

 宮里さんは「オープンして間もない頃で資金面の不安もあったため助かった」と話す。児童と外で遊ぶ機会も多く「帰宅後に気持ちよくお昼寝ができるのもクーラーのおかげ」と感謝した。(社会部・末吉未空)

2023年の助成7団体

▽就労継続支援B型事業所 Common’s (豊見城市)

▽就労継続支援A型事業所 結の里(石垣市)

▽サポートセンター ゆい(うるま市)

▽福祉作業所 友愛の絆(糸満市)

▽就労支援センター 首里(那覇市)

▽一般社団法人 フレンズハウス(北中城村)

▽合同会社 ALL STAR 咲心(にこ)(那覇市)

助成団体を募集 5月10日まで

 沖縄タイムス社は第21回「タイムスふれあい事業」で、助成を希望する小規模の福祉施設や団体を募集している。同事業は2004年から実施。これまで124施設に総額3485万8873円を寄贈した。

 募集期間は5月10日(金)まで。対象は、24年度の事業計画で必要とする設備、備品、周年事業や記念事業運営費など(毎年の事業を除く)。20年度以前に本事業を受けた施設、団体も申請が可能。事業要項・申請書は沖縄タイムスホームページ(https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/1342861)から入手できる。

 申請書に施設パンフレットや事業案内、イベントの実施要項や収支決算書などの資料を添付し、タイムスふれあい事業事務局宛てに郵送する。締め切り日必着。

 郵送先は郵便番号900-8678 那覇市久茂地2の2の2、沖縄タイムス社総務局総務部「タイムスふれあい事業事務局」宛て。問い合わせは、電話098(860)3548(土日・祝日を除く午前9時~午後5時)。

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