女性の平均月給「係長で34万円、部長で52万円」適切な労働時間が昇進意欲に関係?

労働基準法が定める上限より短時間労働を希望する女性も多い

男女間では平均月給に格差があり、基本的に男性の方が高い傾向にあります。

厚生労働省が2024年3月27日に公表した最新統計では、その特徴がよくわかります。

特に年齢別でみると年代と共に広がっていき、55歳~59歳では両者で13万円以上の差が付くという結果に。

男女の給与制度で賃金格差を設けることは禁じられているため、労働時間や役割等の違いが出ていると考えられます。

別の調査では、子育てを考えたときに女性が理想とする労働時間は労働基準法の上限である1日8時間より短いという結果となりました。

一定数の女性がフルタイムの労働時間は「長すぎる」と感じているようです。

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女子の平均月給(年代別・役職別)

まずは、女性の平均月給についてまとめました。

厚生労働省がまとめる「令和5年賃金構造基本統計調査」によると、男女の年齢別の賃金推移は次のとおりです。

【写真1枚目/全2枚】性、年齢階級別賃金、対前年増減率及び年齢階級間賃金格差。後半の写真で「理想の労働時間別の追加で欲しい子どもの人数」もチェック
性、年齢階級別賃金、対前年増減率及び年齢階級間賃金格差

男女とも、50歳代頃までは年齢と共に平均月収が上昇する傾向にあるものの、上昇ペースに大きな違いがあります。

その結果、年齢と共に性別の差がつきピークの55歳~59歳では男性が42万7400円、女性は28万1700円と、平均で14万円以上の差がついてしまうのです。

続いて、性別・役職別の平均賃金もみてみましょう。

性別・役職別の平均賃金

役職別でみると、平均賃金の男女差は縮小しますが、それでも男性の方がやや平均賃金が高い傾向にあります。

部長級では約7万円、課長級なら約7万円の月給格差があるのが特徴です。

なお、対前年増減率については男性より女性の伸び率の方が大きく、両者の格差は是正に向かっていると考えられます。

労働基準法第4条においては「男女同一賃金の原則」が定められています。

もちろん性別ではなく、職務の内容や労働時間などにより上記の格差が生まれていると推察されますが、合理性のない男女の賃金格差は是正されるべきであるといえるでしょう。

一方で、子育てをする女性の労働に対する意識調査では理想とする労働時間も明らかになりました。次章にて確認しましょう。

子育てと労働時間の意識調査

続いては、子育てをする女性の労働に対する意識調査を紹介します。

株式会社ワーク・ライフバランスによる調査「企業の働き方改革に関する実態調査(2023年度)」では、女性の労働に対する意識について、次のような結果となりました。

  • 子どもを産み育てたいと思える理想的な労働時間:1日5時間~7時間未満
  • 管理職になりたいと思えるようになるために必要と考えるもの:1位「労働時間が1日6時間程度」

子育てにおける理想的な労働時間は5時間~7時間未満

子育てや家事をすると、どうしても時間を取られます。

1日は24時間と決まっている以上、労働時間を短縮して生活にゆとりを持たせたいと考える女性が多いようです。

労働基準法では、残業時間外労働を除いた1日の労働時間の上限が8時間となっています。

企業の定時を上限に設定しなければならない理由は特にありませんが、実態としては正社員の1日の定時を8時間程度にする企業が多いと考えられます。

すなわち子育て世代の女性にとって、正社員の労働時間は基本的に「長すぎる」と感じてしまうということです。

女性の子育てと仕事の両立を促進するためには、短時間勤務など労働時間に配慮した取り組みが望ましいといえます。

理想の労働時間別の追加で欲しい子どもの人数

同調査では、欲しい子供の人数と適正な労働時間の分布についてもまとめられています。

子どもは1人で充分と考えている女性は「6~7時間未満」を理想とする人の割合が最も多いという結果に。

一方で、2人もしくは3人以上の子どもが欲しい女性では、いずれも5~6時間未満を理想とする方が多いようです。

労働時間が6時間以下なら管理職になりたいと思える

30歳代以下の女性を対象にした調査では「労働時間が6時間以下になるなら管理職になりたい」と考える方が多いようです。

裏を返せば、労働時間が長くなるようなら必ずしも出世しなくともよい、と考えている方が少なからずいることを意味します。

必ずしも皆が出世を目指す時代ではありません。現代では、働き方や価値観も多様化しているといえるでしょう。

参考資料

  • 厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査」
  • 厚生労働省「労働時間・休日」
  • 株式会社ワーク・ライフバランス「企業の働き方改革に関する実態調査(2023年度)」

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