【ソフトバンク】倉野信次コーチ「アメリカの方が自由じゃない」 MLB武者修行で見た〝実情〟

ソフトバンクが開幕以降、パ・リーグの首位街道を快走している。26日現在で2位・日本ハムに2・5ゲーム差をつけ、貯金8。原動力となっているのが、リーグ1位のチーム防御率2・37(同日現在)を誇る投手陣だ。その若鷹軍団の投手たちを支える倉野信次チーフ投手コーチ(49)に「指導のポリシー」について聞いた。

2022年からMLBレンジャーズ傘下のマイナーリーグへコーチ留学。翌23年から同じくレンジャーズの傘下マイナー投手コーチに正式就任し、MLB初の日本人投手コーチとなった。2年間のMLB武者修行を経て今季から古巣で現職に就いた同コーチは「野球界のトップであるメジャーリーグを知らないと、何も語れない」と前置きし「アメリカの最先端の理論とか良さ、すごさを知ったのと同時に、日本の良さを(あらためて)気付けたことがよかった」と続けた。

その上でMLBとは異なるNPBのストロングポイントを「細かいことに気が付くとか、何でも緻密。反復練習ができる環境があり、風土がある」と指摘した。長いシーズンの中、優れたパフォーマンスを持続させる観点から、反復練習こそが大切なことであると説く。

そして選手たちにくり返し、言い続けているのが「日本プロ野球の素晴らしさ」だ。「アメリカの方が自由じゃない。米国の方が日本よりも細かいルールたくさんある。その中で伸び伸びするんだよ、と常々言っている。日本人は(MLBに)行ったらしんどいよ」と実体験者として海の向こうの実情を知らせつつ、説き伏せているという。

NPBからMLBを目指す選手たちが年々増え続ける傾向の中、同コーチは「必ずしも米国流が全て正しかったり、アジャストできたりするわけではない」との持論も展開している。

現役時代からホークス一筋。07年に引退後は指導者として一、二、三軍の投手コーチを歴任した。その間に千賀滉大(31=メッツ)を指導し、育成選手制度での入団から侍ジャパンのエースにまで成長させるなど、同コーチの手腕は大きく評価されている。

倉野コーチの指導の下、今後も千賀のように〝華麗なる激変〟を遂げるホークス投手陣が続々と輩出されそうだ。

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