熱中症特別アラート 茨城全市町村にシェルター 知事「1カ所以上」要請 暑さ予防行動促す

熱中症特別警戒アラートについて説明する大井川和彦知事=県庁

「熱中症特別警戒アラート」の運用が全国で始まったのを受け、茨城県の大井川和彦知事は26日の定例会見で、アラート発表時、一般に開放する公民館などの「指定暑熱避難施設」(クーリングシェルター)を、県内市町村に最低1カ所は設置するよう求める方針を示した。同日、担当者を集めてシェルターの設置を要請。災害級の暑さに備え、予防行動を促していく。

特別アラートは、気温と湿度などから算出する指標「暑さ指数」が都道府県内の全地点で35以上になると予想される場合に、環境省と気象庁が前日に発表する。33以上で発する「熱中症警戒アラート」の一段上に位置付けられ、24日から運用が始まった。

クーリングシェルターは冷房を備え、誰でも利用できる。市町村が指定し、ホームページなどで公表する。市役所など公共施設のほか、薬局や銭湯、ショッピングセンターなど民間施設を指定する場合もある。

大井川知事は「熱中症による搬送は年々、急激に増加している」と指摘。災害級の熱波に備えるシェルターを「夏までに、各市町村に最低でも1カ所以上つくれるよう、強力に働きかけたい」と述べた。

暑さ指数を確認しながらの熱中症対策を呼びかけ、特に学校教育の現場に対して「必ず熱中症アラートなどを踏まえながら、無理な運動や大会の運営などはしないよう、指導をしっかり行っていく」と強調した。

県保健政策課などによると、県内でシェルターの開設を公表しているのは那珂市内の8カ所のみ(24日現在)。県は26日、市町村の担当者を集めてシェルターの設置を要請。今後は状況を調査して市町村に設置を促すほか、結果を積極的に周知するとしている。

環境省が全国の市区町村に行った調査によると、回答があった197自治体のうち、昨年12月時点でシェルターの設置実績があるのは139自治体にとどまっている。

気象庁によると、昨夏の平均気温は1898年の統計開始以来、最高を更新した。全国で警戒アラートの発表が相次ぎ、茨城県でも2023年度は16回発表されている。熱中症による救急搬送者も増加傾向にあり、同年度は2600人に上った。

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