親が要介護認定になりました。今後、親の介護のため仕事を休まなければならないかもしれません。介護休業、介護休暇の取得条件について教えてください

要介護認定者の数

要介護(要支援)認定者数は、2021年度末現在で690万人です。そのうち第1号被保険者注は677万人、第2号被保険者注は13万人となっています。図表1のとおり高齢化に伴い、要介護(要支援)認定者数は、年々増加しており、2021年は、2000年の2.69倍になっています。

(注:第1号被保険者・・・65歳以上の人、第2号被保険者・・・40歳以上65歳未満の医療保険加入者)

図表1

介護の担い手

要介護(要支援)認定者からみた主な介護者は、同居の家族(45.9%)、事業者(15.7%)、別居の家族等(11.8%)の順となっており、同居の家族の中では、配偶者(22.9%)、子(16.2%)、子の配偶者(5.4%)の順となっています。

性別では、同居・別居ともに女性の割合が大きいです。同居の家族でみると60歳未満の介護者の比率は、男性24.9%、女性23.6%で、60~69歳を含めると男性51.8%、女性53.7%になります(※1)。

図表2

図表3

厚生労働省の「令和3年雇用動向調査結果の概要」によると介護・看護のために離職した人は、全体(717.3万人)の離職者の1.3%にあたります。男性では、パートタイマー労働者の55~59歳と60~64歳、女性ではパートタイマー労働者の45~49歳と55~59歳が他の就業形態、年齢階級に比べて高くなっています。

近年の法改正による介護休業・介護休暇

育児・介護休業法の改正により、2022年4月から介護休業については、パートタイマーなどの有期雇用労働者の介護休業取得要件を緩和し、「入社1年以上であること」の要件撤廃をし、「取得予定日から起算して、93日を経過する日から6ヶ月を経過する日までに契約期間が満了し、更新されないことが明らかでないこと」のみになりました。

また2021年1月から介護休暇が時間単位で取得できるようになりました。

図表4

制度の対象者は、要介護状態の対象家族を介護する労働者(日々雇用を除く)です。対象家族は、配偶者(事実婚)、父母、子、祖父母、孫、兄弟姉妹、配偶者の父母で、対象家族が要介護状態とは、負傷、疾病または身体上もしくは精神上の障害により、2週間以上の期間にわたり常時介護を必要とする状態をいいます(※2)。

注:労使協定を締結している場合に対象外となる労働者(1)入社6ヶ月未満の労働者(2)1週間の所定労働日数が2日以下の労働者

まとめ

ハローワークでは、雇用保険の被保険者が介護休業をした場合、一定要件を満たせば、休業開始時賃金の日額の67%の介護給付金を支給しています。また都道府県労働局雇用環境・均等部(室)では、介護休業制度に関する相談対応や会社とのトラブル解決のための援助を行っています。

家族が要介護状態になったら、国の制度の他にも自治体や会社独自の制度をうまく利用して、精神的・肉体的負担を減らすようにしましょう。

出典

[(※1)厚生労働省 2022(令和4)年 国民生活基礎調査の概況 結果の概要 IV介護の状況
](https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa22/index.html)
[(※2)厚生労働省 そのときのために、知っておこう。介護休業制度(令和6年1月作成))
](https://www.mhlw.go.jp/content/11909000/000833742.pdf)
厚生労働省 令和3年度 介護保険事業状況報告(年報)
厚生労働省 介護で仕事を辞める前にご相談ください (令和3年3月作成)

執筆者:篠原まなみ
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP認定者、宅地建物取引士、管理業務主任者、第一種証券外務員、内部管理責任者

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