【4月27日付編集日記】駅を伝う

 正月の恒例行事、箱根駅伝につながる日本で初めての駅伝が107年前の4月27日、京都から東京まで23区間、約500キロのコースで始まった。「東海道駅伝徒歩競走」と銘打たれた大会は3日間、昼夜を分かたず選手が走り抜いた

 ▼駅伝の名称は、古代から中央と地方を結ぶ幹線道路に整備された駅制、伝馬制をヒントに命名されたといわれている。伝馬制は、出発地から目的地まで同じ人や馬が荷物を運ばずに、宿場ごとに交代してリレーする制度だった

 ▼区間ごとに選手を配置し、チーム一体でゴールを目指す競技を指し駅伝と名付けた感覚は、日本発祥の競技らしく絶妙だ。どんなに苦しくても、たすきを次に待つ走者につなげるため力を振り絞る。日本人の感性にしっくりくるからこそ、見る人の心を引き付ける

 ▼輸送・物流に目を向ければ、昔からの知恵や工夫が、鉄道やバス、トラックのきめ細かなネットワークにつながっているのだろう。予定した日に注文した物品が届き、時間通り目的地に着くのは当たり前のこと

 ▼大型連休が始まった。昼夜を分かたず走り人を、荷物を運ぶ人たちがいて初めて、安心して快適な旅が楽しめることを、頭の片隅にでも置いて過ごしたい。

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