JR九州の別府・由布院―博多間の新しい観光特急「かんぱち・いちろく」(3両編成)が26日、運行を開始した。出発式典が別府駅であったほか、久大線沿線の駅では住民らが到着を歓迎した。JRグループなどが大分、福岡両県に誘客を図る「デスティネーションキャンペーン」に合わせて導入され、9月30日まで週3回往復する。
別府駅の式典には関係者約30人が出席。JR九州の古宮洋二社長が「多くの人に利用してもらえる親しみのある列車にしていきたい」とあいさつ。来賓の佐藤樹一郎知事が「大分、福岡の魅力に触れてほしい」と述べた。
列車名に関わりのある八鹿酒造(九重町)の麻生益直社長(67)らの合図で午前11時すぎに出発した。
由布院駅(由布市湯布院町)では、由布院小の児童や観光関係者ら約100人が集まった。列車がホームに到着すると、車体がデザインされた旗を振って出迎えた。
台湾からの男性観光客(40)は「高級な感じがする。わくわくしています」と言いながら乗り込んだ。
天ケ瀬駅(日田市天瀬町)でも、温泉街の旅館の関係者や住民ら約200人が参加。町内の「塚田ひょっとこ踊り愛好会」のメンバー、さかえ保育園の園児らが踊りを披露して祝った。
菓子店従業員の田代啓介さん(35)は「地元を知ってもらういい機会。停車するのはうれしいし、温泉街に泊まりに来てもらいたい」と期待した。
「かんぱち・いちろく」は久大線開通などに尽力した麻生観八(現八鹿酒造3代目社長)、衛藤一六(旧大分県農工銀行頭取)両氏から名付けた。
月、水、土曜日は博多発の「かんぱち」、火、金、日曜日は別府発の「いちろく」として、片道ずつ約5時間かけて走る。60席全てがグリーン席。料金は食事付きで大人1人1万8千円から。ゴールデンウイークの予約はほぼ満席という。