空き家投資で“利回り20%”を連発できる…「お宝物件」を不動産業者から値下げして購入する「具体的な交渉術」【専業大家が解説】

築古空き家を安く購入、リフォームして賃貸で稼ぐ「空き家投資」。6つのステップを踏むことによって利回り20%を実現できる可能性が高まると、専業大家の恵比寿吉之助氏はいいます。本記事では、同氏の著書『50代から年収100万円アップできる老後資産構築法』(ごきげんビジネス出版)から、利回り20%以上の物件を仕上げるための具体的な方法について解説します。

利回り20%以上を連発するためには

実際に、利回り20%以上の物件を仕上げるための具体的な方法をステップで解説していきましょう。

簡単ではありませんが、特別な人間でなければできないような難易度の高い方法でもありません。順番に行っていけば、どなたでも再現できるでしょう。

ステップ1:家賃から逆算して物件購入予算を設定する

最大のリスクである「空室」を避けるためには、「地域で一番安い家賃でお貸しする」が鉄則です。ですから、確実に入居が決まりそうな家賃から逆算して、投資額の総予算を設定することで空室リスクを避けるのです。

たとえば、地域で一番安い家賃が6万円だとしたら、最低家賃から5000円〜1万円を差し引いた、家賃5〜5.5万円なら確実に入居が決まりそうと想定できます。

もし、想定する家賃が5万円の場合、利回り20%にするための総予算は、300万円です(年間家賃60万円÷20%=300万円)。修繕費用の見込みが150万円なら、物件は150万円以下で買えばいい、という計算です(総予算300万円−修繕費用150万円=物件代150万円)。

もし、利回り15%を目指すなら、総予算は400万円です(年間家賃60万円÷15%=400万円)。修繕費用の見込みが150万円なら、物件は250万円以下で買えばOKです。

この計算方法は全国どこでも使えます。なぜなら、家賃とは膨大な市場取引の結果、決まっているものです。

その中で、一番安い家賃の物件は、地域の中で圧倒的に競争力が高まります。このように、あらかじめ家賃を厳しく想定することで、「入居が決まらない。こんなはずではなかった……」といった失敗を避けられます。

ステップ2:お宝物件を見分ける

次は物件選びです。どういう物件を買うのか一言でいうと、「他の人が買いたがらない物件」です。パターンは大きく分けて2つあります。

1つ目のパターンが、立地はよいけどボロボロ。雨漏り、傾き、シロアリ、水回りがまったく使えないなど、見るからに修繕費用がたくさんかかりそうな物件です。2つ目のパターンが、物件はキレイだけれど立地が悪い物件です。

■電車の最寄り駅から遠い
■バス便・駐車場なし
■急な坂道
■長い階段
■周辺に商業施設がない
■接道がない
■がけ
■擁壁
■かなり田舎
■ハザードマップの警戒エリア
■近隣に反社会勢力の事務所がある

など、「こんな物件では入居者がつかないかも……」と絶句するような物件です。

立地がよくてキレイな物件は、誰もがほしがるので値段は安くなりませんから、ターゲットから外します。問い合わせが殺到しているような物件も避けます。放っておいても売れる物件は、他の人に買ってもらえばいいのです。

他の投資家を出し抜いて、自分だけお宝物件をゲットしてやろう、という気持ちではなく、他の投資家はまったく手を出さない、売れ残りの不人気物件を探します。人気物件を買おうとすると、エリアや物件など細かい条件が気になりますし、土地勘も必要になります。

「買ってもいい」不人気物件を一般的なポータルサイトで探す

くりかえしますが、私にとってのお宝物件は、他の人が誰もほしくない問題山積みの物件です。ただし、問題があればなんでもいい、というわけではありません。買っていい物件か見極める必要があります。ダイヤモンドの原石は、磨けばダイヤモンドになりますが、石ころは磨いても石ころのまま。どういう物件がダイヤモンドの原石なのか、わからずに買うのは非常に危険です。

お宝物件は、一般的なポータルサイトで検索します。SUUMOやat homeなどさまざまなサイトがありますが、どのサイトでもOKです。「そんなに簡単に物件が見つかるの?」と疑われるかもしれませんが、「空き家問題」というくらい物件はゴロゴロ転がっていますので、私がサイトを見たら1時間で10軒、20軒は見つかります。

私の目から見るとお宝物件ですが、他の投資家が見てもダイヤモンドの原石とは思わないので、売れ残って放置されているわけです。つまり、お宝を拾い放題の状態です。人気物件はすぐ売り切れるので一刻も早く行動しないと買えませんが、不人気物件は競合がいないのでゆっくり買いにいけばOK。

大事なのは、どのようなエリアで、どのような条件で検索するかの目利きです。もちろん、物件を買うか、買わないかの見極め方法もあります。不動産投資で成功するかは、物件を買った時点で決まるのです。

ステップ3:激安で購入する

物件を見つけたら、次は購入です。私は、必ず土地値以下で買います。戸建ての価格とは、土地と建物の値段を足したものであり、前述したように、ボロボロの空き家の場合、建物の価値はほとんどありません。土地としての価値しかないので、土地値を基準にします。土地値は「一物四価」といわれ、

市場で取引されている価格

(1)実勢価格

国が定める価格

(2)公示地価

(3)固定資産税評価額

(4)相続税路線価

があります。

販売されている土地は「更地」と「古家あり」の2種類。マイホームを新築したい人は、更地をほしがります。家は解体するのに200万円程度かかりますので、家が残っているほうが土地の価値は下がります。つまり、同じ土地なのに、「古家あり」のほうが安く買いやすいのです。

ここに価格のゆがみがあります。大事なのは、国が定める土地値にまどわされないことと、販売価格のまま購入せず値引きをしてもらうこと。安ければ安いほどいいです。私が購入した今までで一番安い物件は20万円でした。もちろん、20万円の価格でサイトに載っているわけでありません。数百万円で売りに出ているのを値引きしてもらって、20万円で激安購入した、という意味です。

不動産屋との値引き交渉術

激安で購入するノウハウはあります。それは値引きが成功しやすいトーク、つまり安く買うために、どういうアプローチをすればいいのかです。もし、ノウハウもない人が無闇に「値引きしてください!」とお願いしたところで、不動産屋にイヤな顔をされるだけです。大してリフォームが必要ないキレイな物件に、大幅な値引きをするのも時間の無駄。下手をすれば出入り禁止になります。

物件の問題点を指摘して、「かなり修繕費用がかかるから、こんなひどい物件は安くしてもらわなければ買えない」という値引き交渉は、売主を怒らせることがあります。売主の立場で考えてみればわかりますが、「自分さえ儲かればいい」と思っている自己中心的な投資家からアプローチされても、「こいつだけには絶対に売ってたまるか!」という気持ちになるのが人情です。

どんなによい物件と出合っても、自分の希望額で購入できない物件は諦めます。私の場合、購入予算を10万円オーバーしたら買いません。最初に甘い見立てをすると、次々に「仕方ない」と妥協してしまうからです。甘い見立てが習慣になると、目標利回りを下回ってしまいます。

そのため、安く買えない物件は購入対象から外します。野球にたとえると、自分のバッティングフォームは決して崩さず、打てる球だけ狙う感覚です。ですから、値引きを断られても、私はまったく気にしません。物件を売るかどうか決めるのは売主ですし、物件はいくらでもありますので、その物件に執着する必要はまったくないのです。激安で購入することで、さまざまなリスクをカバーできます。家賃も下げられますし、失敗リスクが低くなります。

私は昨年1年間で10物件購入し、うち6物件が100万円以下です。空き家投資をはじめてから、他の不動産投資に見向きもしなくなりました。これほど激安で購入できる不動産投資の方法は他にないからです。購入時点でコストをかけないことは本当に大事です。安く買えば利益が確定しますし、さまざまなリスクも回避できます。

ステップ4:修繕費用を見立てる

不動産投資はたくさん費用がかかり、中でも大きいのが修繕費用です。修繕費用の見立てができずに、なんとなく古い家を買ってしまうと、「あ、ここシロアリが食ってる!」「水道の配管が破裂してる!」など、購入時点で気づかなかった不具合が次々と発覚し、リフォームを進めているうちに出費が増えがちです。

その結果、修繕予算がオーバーしてしまいます。最初に修繕費用の上限が抑えられないと、利回り20%を出すことはできません。ですから、修繕費用の見立ては超重要なのです。本記事の空き家投資の場合、修繕費用の上限を瞬時に見極めるノウハウがあります。

私はこれまでに、1000軒以上の物件を見て、膨大な経験を積んでいますので、一目で修繕費用の予算を見立てることができます。古い家はシロアリが食っていたり、水道管が破裂していたりと、さまざまなリスクがありますよね。起こりうるリスクも踏まえた上で、修繕費用を見立てるやり方ですから失敗しにくく、想定以上に予算がかかることも、ほとんどありません。

私が現地で物件を見たら、「この家は1軒丸ごと修繕して、トータル100万円で済むな」と瞬時にわかります。内見時に見るべきチェックポイントがあるのです。たとえば、建物の傷み具合から、屋根、外壁、室内の天井、壁、床、水回り設備にどの程度修繕が必要か、建物の周辺環境もあわせてササッと確認します。

慣れれば内見時間は15分以内で終わります。このやり方を知っていれば、リフォーム屋を呼ばなくても自分で修繕費用の目安を計算でき、その場で買い付けを入れられるでしょう。内見して即買い付けですから、スピードは最速です。

修繕費用の見立ての大事なポイント

修繕費用の見立てで大事なポイントは、少し高めに見積もること。修繕費用の上限額はギリギリではなく、余裕をもって設定しておくと、追加の修繕が必要になっても慌てませんし、予算オーバーになりにくいです。ボロボロの空き家を再生するために、修繕のノウハウは非常に重要なこと。問題の多い物件を扱うわけですから、「この物件だったら、こういうリスクがあるな」と判断して修繕費用を設定します。

このように、決まる家賃から総予算を決めて、修繕費用の予算を差し引いて、購入金額を決めていくと、買った瞬間に利回り20%がほぼ確定します。市場から一生懸命に、利回り20%になりそうな物件を探しているわけではなく、自分自身で利回りをつくっているわけです。コストをコントロールする力があるので、何度でも利回り20%を再現することが可能になります。

ステップ5:激安で修繕する

実際に激安で修繕ができること。これは超重要です。激安で修繕するといったら、あなたが真っ先に思いつくのはDIYかもしれません。たしかに自分で壁紙を貼るなどすれば修繕費用は節約できますが、自分の人件費や労力がかかることを考えるとイマイチです。

経営者は頭を動かして采配するのが仕事と思っていますので、私はDIYを一切やりません。なお、修繕費用を安くする方法には、「分離発注」と「施主支給」がありますが、これも私はやらないようにしています。

「分離発注」とは、工事を水道屋さんやクロス屋さんなどバラバラに発注して、コストカットする方法です。たしかに安くはなりますが、自分自身が現場監督のような工程管理をする必要があるため、初心者向けではありません。

「施主支給」は、材料を自分で買って、工事だけお願いする方法ですが、手間がかかりますし、リフォーム屋に嫌がられることがあります。

そのほか「中古品、在庫品でやってください」と指示することも一切しません。あれこれ注文が多い客は、リフォーム屋に面倒がられるからです。また、特定のリフォーム屋に頼まないと、安く修繕できないわけでもありません。全国どこでもリフォーム屋を見つけることはできます。むしろ、リフォーム屋を見つけた後に、どのように発注するのかという「仕事のお願いの仕方」が重要なのです。

激安で修繕する2つのポイント

激安で修繕するためのポイントは2つ。リフォーム屋を「見つける方法」と、安くするための「発注方法」です。それぞれにノウハウがあります。

修繕費用を安くする方法をリフォーム屋は知りません。リフォーム屋は建築のプロですが、投資のプロではありませんので、リフォーム屋の言いなりで工事をすると高くなります。

こちらが修繕方法を指示して、リフォーム屋をマネジメントすることで安くなるのです。雨漏り、傾き、水回りを交換、家1軒を丸ごと修繕しても、おおよそ100万円以下で収まります。かかったとしても150万円以下で収まることが多いです。普通は500万円くらいかかるような工事でも、私の場合なら100万円以下で終わることも多いです。激安修繕を実現する独自のノウハウがありますので、修繕費用で大きな差がつきます。

「安いリフォーム屋を見つければいい」と勘違いしている人がいますが、そんな単純な話ではありません。なお、激安で発注したからといって、リフォーム屋に怒られることもありません。むしろ、私はリフォーム屋の利益を削らず定価で発注しますので、気持ちよく工事をしてくれます。お互いwin-winです。

何度かダイヤモンドの原石を磨く話をしていますが、高いお金をかけてダイヤモンドをつくっても意味がありませんよね。修繕費用を下げ、激安のコストで済ませる方法を知っているので、ダイヤモンドをつくり出せるのです。

ステップ6:入居者募集や管理を行う

入居者募集は基本的に不動産屋へ依頼します。SNSなどを活用し、自分で入居者を見つけることも多いです。地域で一番安い家賃で募集しますので、物件の競争力はあります。今まで入居が決まらなかった物件はありません。家賃を下げれば入居は決まりやすいので、最初から安い家賃で出すのはリスクが低いです。

なかなか入居が決まらないときは、家賃を下げることもありますが、もともと一番安い家賃で利回り20%が取れるように設計しているため、少々家賃を下げたとしても利回り16〜18%を確保できます。

「戸建ての空き家投資」は管理会社に委託せず、自主管理

入居が決まった後の管理は、管理会社に頼まず自主管理で行います。一般的に、本業のあるサラリーマン投資家は管理会社に委託することが多いですが、管理会社に頼むことにより委託管理費がかかりますし、管理会社を通じた修繕は高額なケースが多いです。戸建てはアパートやマンションと異なり、共用部がありません。ゴミ拾いや草むしりは入居者がやってくれますので、定期的な巡回点検や清掃は必要ないです。

自主管理だと、入居者から頻繁に電話がかかってくるイメージを抱かれるかもしれませんが、実はほとんどありません。私の場合、入居者からの連絡は、1物件あたり年に1回あるかないかの頻度です。

入居前に修繕していますので、入居後の建物や設備の不具合は考えにくいですが、もし不具合が発生したとしても、リフォーム屋に手配して対応すればOKです。自分が現地に行ってもなおせないので、プロに対応をお願いします。基本的に現地に行く必要がありません。

遠方の物件でも問題ありません。遠隔地の管理は不安かもしれませんが、賃貸契約書への記載を工夫するなど入居者からの連絡を減らす方法や、実際に連絡が入ったときの対処方法など、効率的な自主管理のノウハウもあります。ノウハウさえあれば、管理会社に依頼する必要はありません。

賃貸経営のよいところは、たいして時間がかからないこと。本業が忙しい人でも十分に両立できます。

空き家投資は感覚ではなくロジカルに

以上、空き家投資の6つのステップをお伝えしました。くりかえしになりますが、事前に、家賃相場や修繕費用の見立てをした上で、物件の仕入れ価格を決めるのがポイントです。

なんとなく物件を購入することはせず、「いける」と判断した上で購入しましょう。非常にロジカルな手法ですので、このやり方を1回身につければ、何度でも再現できます。

恵比寿 吉之助

中高年の資産所得倍増アドバイザー

※本記事は『50代から年収100万円アップできる老後資産構築法』(ごきげんビジネス出版)の一部を抜粋し、THE GOLD ONLINE編集部が本文を一部改変しております。

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