「ブルズアイの芯が未だに分からない」 川村昌弘“なんかいい感じ”のクラブ考

川村のバッグは“不思議”がいっぱい(撮影/服部謙二郎)

◇国内&欧州男子ツアー共催◇ISPS HANDA 欧州・日本どっちが勝つかトーナメント! 2日目(26日)◇太平洋クラブ御殿場コース(静岡)◇7262yd(パー70)

DPワールドツアー(欧州ツアー)のメンバーとして母国の試合を戦う川村昌弘は暫定12位の好位置で週末を迎えた。過去には1番アイアンを入れるなど、川村のバッグの中身は欧州の選手も“二度見”するほど一般常識が通用しないものばかり。今週も気になるものがいくつか入っていた。

620MBを7度寝かせて53度にした“ウェッジのようなもの”(撮影/服部謙二郎)

まず目を見張ったのは、鉛がベッタリ貼ってある“ウェッジのような”クラブ。そう見えるだけで、ソールには何の表記もない。ロフトもバウンスもよく分からない。川村に聞くと、原型は「620MBアイアン」で、ピッチングウェッジのロフトを7度寝かせた代物だという。「元々200シリーズという古いウェッジを使っていたんですが、それ以降なかなかいいモノに出会えなくて。ウェッジだと、どうにもこうにもスピンが多過ぎちゃうんですよね」。そこで、欧州ツアーのタイトリストのツアーレップと相談し、アイアンのロフトを寝かせる作戦に打って出た。

長らく愛用している620MB(撮影/服部謙二郎)

「スピンが入りづらいのが良くて。まさに“飛ばないピッチング”というイメージですね。そもそも自分はピッチングが得意なので、その流れで上手くコントロールできています」。とはいえ、ロフトを7度も寝かせれば、歯も出るし、バウンスもつくのでかえって難しそうだが…。「リーディングエッジはだいぶ削っていますし、ソールもネックも削っています。いろんな場所を削る分、バランス調整で鉛を貼ってもらって」と“ベッタリ”が理解できた。試合を重ねると鉛がはがれてくるそうで、練習日にはタイトリストのツアーバンを訪れ、バランスを測りながら“追い鉛”を施していた。

逆打ちは遊びでする程度(撮影/服部謙二郎)

もう一つ気になったのがパターだ。もはやツアーで見かけることは(ほぼ)ない、往年の名器「ブルズアイ」ではないか。しかも黒染めヘッドと実に美しい。若い選手にはもはや“骨董品”に見えなくもないが…。出会いは昨年8月。「アメリカのキャメロンスタジオに行ったときにたまたま見つけて。欲しい!となって」と、一目ぼれでバッグイン。ヘッドは小さくて幅も細く、実に難しそうだが「何も気にしなくていいところがいいんですよね。座りとか向きとかこの形だともう気にしようがない。自分が好きなようにやっていいですからね」と、手放せなくなっているという。だいぶ芯が狭そうに見えるが、「未だに芯がちゃんとどこなのか分かってないです」と笑っていた。そんなところもまた楽しんでいるようだ。

メルカリでポチッとやった三浦技研の3I(撮影/服部謙二郎)

テクノロジーがいっぱい詰まった最先端クラブを使うのもいいが、彼のように滋味深いクラブでツアーを戦うのもまた一興。ちなみに、今週はバッグインしなかったが、練習日にはメルカリで買ったという三浦技研のロングアイアンも見せてくれた。「昔、三浦のアイアンを使っていたんですよね。ベルギーの試合でちょうどいいかなと思ってポチっとしちゃいました」と、なんだかうれしそう。週末、御殿場へ試合を見に行く方は、川村のバッグの中をぜひのぞいてみてほしい。

<川村昌弘のクラブセッティング>

練習日の14本。試合では3、4Iの代わりに3Uと56度が入った(撮影/服部謙二郎)

ドライバー:タイトリスト TSR3(10度)
シャフト:藤倉コンポジット VENTUS BLUE(重さ60g台、硬さX)
フェアウェイウッド:タイトリスト TSi2 フェアウェイメタル(3番15度、5番18度)
シャフト:藤倉コンポジット VENTUS BLUE(3番6X、5番7X)
ユーティリティ:タイトリスト 818 H2(3番18度)
アイアン:タイトリスト 620MB(5~PW)
シャフト:トゥルーテンパー スチールファイバー i125cw X
ウェッジ:タイトリスト 620MB(53度)、ボーケイ SM10(56度、60度)
シャフト:トゥルーテンパー スチールファイバー i125cw X
パター:スコッティキャメロン ブルズアイ
ボール:タイトリスト プロV1

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