『徹子の部屋』にティモンディ 高岸vs徹子という超ド級マッチアップに刮目する

忘れたころにやってくる『徹子の部屋』(テレビ朝日系)の芸人回。これまで、数々の芸人たちが徹子の塩対応によって血祭りにあげられ、「芸人地獄門」と呼ばれて恐れられてきた。同局の『アメトーーク!』では2度にわたって「徹子の部屋芸人」企画が放送され、霜降り明星やかまいたち、錦鯉、トレンディエンジェルといった賞レース優勝コンビが徹子に“スベらされた”エピソードを明かしている。

そんな『徹子の部屋』の26日放送分に呼び出されたのは、ともに済美高校野球部出身の高岸宏行と前田裕太からなるティモンディ。高岸は高岸で話が通じない、もとい常識にとらわれないキャラクターとして知られているだけに、刺激的なマッチアップに一部界隈で注目を集めていた。

冒頭、「とても多彩なお笑いコンビ」と紹介されたティモンディ。いつもの青とオレンジのスーツに身を包み、高岸はいつもの石膏で固めたような笑顔を顔面に貼り付けて突っ立っている。今日も調子は良さそうだ。

徹子にイスをすすめられると、さっそく高岸が仕掛ける。すんなりと座った前田をよそに、「中腰でなかなか座らない」という攻撃で徹子のご機嫌をうかがう高岸。だが、徹子は台本に目を落としてそんな高岸を見ておらず、高岸の初手は空振りに終わった。

その後、前田、高岸の順に自己紹介をうながす徹子。前田の話はフンフンと聞いていた徹子だったが、高岸が「ティモディの……高岸です!」とファイティングポーズを取って声を張り上げると目ん玉をひん剥いて驚愕。「すごい大きい声ですねえ」と一瞥だけくれ、ガッツポーズをし続ける高岸を無視して再び前田に話を戻した。

ひとしきり保護猫の話題で盛り上がると、今度は高岸の野球エピソードに。20年に独立リーグ・栃木ゴールデンブレーブスに入団した高岸はれっきとしたプロ野球選手だ。

「すごいですねえ」感心しきりの徹子に、高岸のパンチラインが放り込まれる。

「何もすごくないですよ。徹子さんだって(プロ野球選手に)なれるんですから!」

これまで、無数の老若男女から「いやいや、何をおっしゃいますやら」という微妙なリアクションを引き出してきた、高岸の「あなたもプロ野球選手になれる」「あなたも150km/hを投げられる」発言。徹子のディフェンスに注目が集まるところだが、徹子は絶句からの薄ら笑いで難なくスルー。

続く大河ドラマの話題では、高岸が現場の様子について「プロフェッショナルが集まるオリンピックでしたね」と、元来オリンピックがアマチュアの祭典であることを忘れていたために図らずもテクニカルになった発言を繰り出したが、これも徹子には刺さらなかった。

結局、無難な前田とグルーブしない高岸という図式で番組終盤を迎えたが、最後の最後で高岸が「徹子さんのこれからの夢は何ですか」と、豪速球のストレートを放つ。

「100くらいまでこの仕事を続けていきたい」

思わぬ大団円に落ち着いた今回の『徹子の部屋』。たとえどんな地獄であっても、動じずに光を発し続ける高岸という芸人の特異性を見た気がした。

(文=新越谷ノリヲ)

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