「幸せもんですね」 中島啓太は“自画自賛”のクラッチパット

初Vから2試合連続優勝へ2打差を追う(撮影/今井暖)

◇国内&欧州男子ツアー共催◇ISPS HANDA 欧州・日本どっちが勝つかトーナメント! 3日目(27日)◇太平洋クラブ御殿場コース(静岡)◇7262yd(パー70)

後半16番でバーディを決め、中島啓太はそれまでもずっと気にしてプレーしていたリーダーボードに目をやった。自分の名前を確認し、岡崎錬キャディと笑い合った。「ショットもあまり良くはなくて、パッティングもひどいタッチ。その中で(上位陣の)1枚目にいたので、『ホント幸せもんですね』って」

1番でいきなり3パットボギーを喫した。自虐節が漏れる状態で「65」にまとめられた要因は、勝負どころを逃さなかったことに尽きる。欧州ツアーのインタビューに「Great par save」と英語で答えた12番。ティショットを左のバンカーに入れ、片足だけバンカーの外に出してレイアップを強いられた。70ydのウェッジショットを2.5mに絡め、上から繊細なラインを沈めてこぶしを握った。

勝負どころは逃さない(撮影/今井暖)

大ピンチを乗り切って通算7アンダーで踏ん張り、トータル2桁アンダーに届く可能性が残ったと確信したという。だからこそ、2.5mのチャンスを決めきった15番とともに「恐らくクラッチパット(勝敗を左右するパット)になると、自分でも分かっていた」

15 番のバーディパットを打つ前には、岡崎キャディに宣言もしていた。「このパットが入ったら、流れが良くなって、あすに響いてくると思います」―。上がり5ホールで4バーディの締めくくりには、自分の中で“伏線”があったとうなずく。

「ショットは良くない」と言いつつ、粘り強くスコアメーク(撮影/今井暖)

一気に首位との差を2打に縮め、4週前の「ヒーローインディアンオープン」での初優勝から2試合連続となるタイトルを狙える位置につけた。「日本で開催されていますけど、(あくまで)DPワールドツアーで戦っているという意識。我慢強くプレーして、もう一回、勝ちたい」。日本のファンの期待を背負いながら、冷静沈着に戦う23歳。その背中が一層たくましくなってきた。(静岡県御殿場市/亀山泰宏)

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