フィリピンの作家が描く復興物語 陸前高田を長編映画の舞台に

せりふや動きについて談笑する主演のギャビー・パディーリャさん(中央)と中野有紗さん

 フィリピンの作家ハイメ・パセナ2世さん(43)は、陸前高田市を舞台に自身初の長編映画「This Place~この場所~(仮称)」を制作している。東日本大震災と家族の再生がテーマの物語で、今夏の完成を目指す。29日まで同市で撮影し、出演者やスタッフらは未来への希望を見いだせる作品に仕上げようと奮闘している。

 現場にパセナさんの声が響き緊張感が漂う。24日は米崎町の民家を借りて約10時間かけて撮影。主演のフィリピン俳優ギャビー・パディーリャさんや日本人俳優中野有紗さんらが熱のこもった演技を見せ、せりふや動きを綿密に確認した。

 物語は、フィリピン人女性が日本で働いていた父の葬儀のため陸前高田を訪れ、自分とは性格が違う異母姉妹の日本人学生と出会うところから始まる。2人が日々を過ごす中で、それぞれが抱える父への思いや、震災の記憶が交錯し、やがて家族とは何か気付かされていくストーリー。

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