【4月28日付編集日記】災害と水

 水の硬度は溶けているカルシウムとマグネシウムの量で決まる。一般的な日本の水道水の含有量は1リットル当たり50ミリグラムで軟水に分類される。日本茶を入れたり、だしを取ったりするのに適している

 ▼国際的な品質評価コンテストで、金賞を何度も得ている福島市の水道水の含有量は20ミリグラムと少なく、まろやかな味わいだ。塩素濃度が低いのでにおいがしないなど、おいしい水の条件を満たしている

 ▼元日の能登半島地震では、水道管が広範囲で損傷したことで、約5万5千戸が断水した。家庭で1日に使う水の量は飲み水も含めて1人当たり200リットルを超えるというから、不便さは相当のものだ

 ▼阪神・淡路大震災でも長い間、飲み水を確保することができなかった。その経験から災害時に住宅や工場などの井戸を開放して、飲み水や生活用水として役立てる制度ができたものの、あまり知られていない

 ▼蛇口をひねれば水が出る生活のありがたみは、災害でもないと、なかなか目が向かないというのが正直なところだろう。ただ、もはや災害は万が一やもしもの出来事ではない。そのときにどこで水を入手して、どうやっておいしく飲めるようにするか。頭をやわらかくして考えておきたい。

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