【女医のお部屋】日中のウトウト…放置していると危険「睡眠時無呼吸症候群」いびきとの違い

家族に睡眠時の無呼吸を指摘されたことがあったら医療機関を受診しよう

春の陽気に包まれながら、日中にうとうとするという経験をしたことがある人もいるだろう。しかし、その眠気は睡眠時無呼吸症候群による影響で、放置していては危ないかもしれない。いったいどんな病気なのか、耳鼻咽喉科の鈴木香奈先生に教えてもらおう。

――睡眠時無呼吸症候群とは

鈴木医師(以下、鈴木)寝ているときに呼吸が何度も止まる病気です。平均して1時間に5回以上の無呼吸や低呼吸が繰り返されると睡眠時無呼吸症候群とされます。無呼吸とは10秒以上の呼吸停止のことで、低呼吸は呼吸が弱くなったり浅くなったりしている状況を指します。

――いびきと睡眠時無呼吸症候群の違いを教えてください

鈴木 空気の通り道である気道がどれくらいふさがっているかがポイントです。窓と風の関係を想像してください。窓が全開だと風が吹いてもあまり音はしませんが、狭い隙間があるとピューピューと鳴る。それと同じで、鼻から喉にかけてどこか狭いところがあると音が鳴ります。それがいびきです。鼻づまりなどでも起こりますね。しかし、閉塞すると、呼吸が止まります。その状態が頻繁に起こると睡眠時無呼吸症候群です。

――呼吸が止まるなんて怖いです。原因は何が考えられますか

鈴木 代表的なものは体重増加に伴う肥満です。気道の周りに脂肪が蓄積され、気道を狭くしているわけです。あとは、顎の骨格の問題です。顎が小さかったり、顎が少し出ている人は、舌が下顎の中に収まりきらず、気道を圧迫しているケースがあります。他にも扁桃腺(口蓋扁桃)が大きいことで気道が狭まっていたり、加齢により筋弛緩が強くなり舌が気道に落ちたりして、無呼吸につながっている人もいます。

――医療機関を受診する目安を知りたいです

鈴木 ご家族からいびきや無呼吸の指摘をされたことがある人は一度受診してみてください。また、自覚症状として、朝の倦怠感がひどい、熟睡感がない、日中の眠気がある、夜トイレに頻回に行くなどがあれば病気を疑ってほしい。あと、居眠り運転の事故歴があったり、運転中耐えられない眠気でヒヤッとした経験があったりする人は特に受診してほしいです。

――夜の睡眠が不十分であるために、運転中でも急に眠気が起こるということですね

鈴木 そのとおりです。眠気をきたすような疾患がある人が車の運転をして、もし事故を起こした場合、すぐに免許停止になります。運転中の眠気が頻繁にある人はその状態を重く受け止めてほしいです。

☆すずき・かな 日本耳鼻咽喉科学会専門医。金沢医科大学卒業。金沢駅前ぐっすりクリニック院長を務めており、睡眠時無呼吸症候群を核に、アレルギーや蓄のう症(副鼻腔炎)をはじめとした耳鼻咽喉科診療を行っている。

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